未払い残業代請求にデメリットはある? 請求前に知っておきたいこと
- 残業代請求
- 残業代請求
- デメリット
残業代請求は、労働の対価を請求するものですので、労働者として当然の権利の行使といえます。
しかし、在職中に残業代請求をしようと考えている方の中には、「残業代請求をしたことによって何か不利益が生じないだろうか」と不安を抱いている方もいるかもしれません。会社に対して残業代請求をすることによって、何かデメリットが生じることはあるのでしょうか。
今回は、未払い残業代請求にデメリットがあるのかどうかについて、ベリーベスト法律事務所 堺オフィスの弁護士が解説します。
なお、当事務所では、労働問題などに関するメールのお問い合わせを事務員が24時間・365日受け付けております。また、残業代請求の弁護士相談は何度でも無料です。今すぐ相談したいという方は、お気軽にお問い合わせください。
1、残業代請求をすることにデメリットはある?
残業代請求をすることによって、何かデメリットが生じることはあるのでしょうか。
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(1)基本的にデメリットはない
残業代請求は、労働者としての正当な権利の行使ですので、残業代請求によってデメリットが生じるということは基本的にはありません。
もちろん、残業代請求をするためには、それを裏付けるための証拠が必要となりますので、十分な証拠をそろえることができなかった場合には、残業代請求が認められず敗訴してしまうというリスクも生じます。しかし、これは残業代請求特有の問題ではありません。
残業代請求をしないことによって、多額の残業代を失ってしまうことの方がデメリットは大きいといえますので、未払いの残業代がある場合には、しっかりと請求していくことが大切です。 -
(2)会社からの嫌がらせには法的対応が可能
残業代請求をすることによって、会社から嫌がらせを受けたり、不利益な取り扱いがなされたりすることを心配している方もいるかもしれません。
残業代請求によってこのようなことが生じないとはいえませんが、仮に会社から嫌がらせや不利益取り扱いがなされたとしても、法的対応が可能ですので安心してください。
たとえば、残業代請求をしたことによって解雇されたとしても、そのような解雇は不当解雇として無効になります。降格や配置転換をされたとしても残業代請求をしたことを理由になされたものについては、不当な処分となりますので違法無効な処分といえます。
このように会社からの嫌がらせなどに対しては、法的手段に基づいて適切な対応をとることによって、嫌がらせなどによる不利益を最小限に抑えることができます。
2、残業代請求は在籍中にするべき? 退職後が良い?
残業代請求は、会社に在籍中と退職後のどちらのタイミングでも行うことができます。では、残業代請求をする場合には、会社に在籍中に行うのと退職後に行うのとではどちらが良いのでしょうか。
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(1)在籍中に残業代請求をするメリット
在職中に残業代請求をするメリットには、以下のものが挙げられます。
① 消滅時効の成立前に請求できる
残業代の請求権には、時効がありますので、一定期間が経過してしまうとそれ以降は残業代を請求することができなくなってしまいます。
残業代請求権の時効期間は、以前は2年でした(労働基準法115条)。しかし、民法改正との関係で労働者側と会社側で時効期間に対する見解の相違がありました。
その結果、現時点での時効期間は3年となっています。今後、時効期間が5年となる余地はありますが、残業代が発生した月から3年が経過してしまうと、時効によって請求することができなくなります。退職のタイミングで請求しようとしていると、3年以上前の残業代が時効によって消滅してしまうおそれがあります。
そのため、残業代請求の時効である3年を経過しそうだという方は、在職中に残業代請求をするのがおすすめです。
② 証拠の収集が容易
残業代請求をするためには、労働者の側で残業をしたことおよびその時間を証明するための証拠を収集しなければなりません。残業代請求に関する証拠としては、タイムカード、就業規則、賃金規程などがありますが、会社に在職中であればこれらの書類を入手して、コピーをとることも容易です。
退職後だと残業代請求をするための証拠収集に困難が生じることも少なくありませんので、在籍中または退職後のどちらのタイミングで残業代請求をするかどうかにかかわらず、残業代請求に関する証拠は、在籍中に収集しておくことをおすすめします。 -
(2)退職後に残業代請求をするメリット
退職後に残業代請求をするメリットには、以下のものが挙げられます。
① 会社から嫌がらせを受ける心配がない
会社から嫌がらせや不利益取り扱いを受けたとしても法的対応によって解決することができますが、会社とトラブルが生じることによって会社に居づらくなるという方もいるかもしれません。
会社とのトラブルが心配だという方は、退職後に残業代請求するのがおすすめです。会社を退職してしまえば、会社に気を遣う必要は一切ありませんので、気兼ねなく残業代を請求していくことができます。
② 遅延損害金が高くなる
退職後に残業代を請求する場合には、「賃金の支払の確保等に関する法律」によって、遅延損害金の利率として年14.6%の利率が適用されます。在籍中だと、年6%または3%の利率ですので、退職後の方が遅延損害金の利率が高くなっています。
3、残業代請求は示談に応じたほうが良い?
残業代請求に対して会社が示談を求めてきた場合には、それに応じた方がよいのでしょうか。
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(1)残業代請求における示談とは
残業代請求における示談とは、未払いの残業代に関するトラブルを労働者と会社との話し合いによって解決する方法です。
示談は、あくまでも話し合いによる解決方法になりますので、労働者側から示談を希望していたとしても、会社が示談に応じてくれなければ示談によって解決することができません。示談で解決するためには、双方の合意が不可欠の条件となります。 -
(2)示談に応じることのメリット・デメリット
残業代に関するトラブルを示談によって解決することには、以下のようなメリットとデメリットがあります。
① メリット
残業代に関するトラブルについて示談をすることによって、早期に問題を解決することが可能というメリットがあります。
残業代に関するトラブルが話し合いでは解決することができない場合には、労働審判や訴訟によって解決を図ることになりますが、このような手続きを踏むと解決まで年単位で時間がかかることも少なくありません。少しでも早く解決したいという場合には示談による解決がおすすめです。
② デメリット
残業代に関するトラブルを示談で解決する場合には、金額面で損をすることがあるという点がデメリットとして挙げられます。
示談は、当事者双方が譲歩して解決する方法ですので、満額での解決ではなく多少譲歩した金額になることが多いです。解決金には遅延損害金も含めませんので、訴訟によって解決した場合と比べると金額面で損をする可能性もあります。
4、残業代請求を弁護士に依頼するメリット・デメリット
残業代請求を弁護士に依頼することには、以下のようなメリットとデメリットがあります。
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(1)弁護士に依頼をするメリット
残業代請求を弁護士に依頼することによって、会社との交渉をすべて弁護士に任せることができます。労働者個人では、なかなか強い態度で請求していくことができない方も多いでしょう。弁護士が窓口となることによって、不安なく法的観点からしっかりと請求していくことができます。
もちろん、残業代請求の前提として必要となる証拠収集や残業代計算という面倒な手続きについてもすべて弁護士が対応しますので、労働者の負担は大幅に軽減されるといえます。 -
(2)弁護士に依頼をするデメリット
弁護士に依頼するデメリットとしては、弁護士費用がかかるという点が挙げられます。
弁護士に相談をすれば相談料、弁護士に依頼をすれば着手金、事件が解決すれば報酬金が必要になります。経済的に余裕がない方にとっては、弁護士に依頼をした場合の費用負担が大きなネックとなるでしょう。
ベリーベスト法律事務所では、このような経済的な負担を少しでも軽減することができるように、残業代請求に関する法律相談については、何度でも相談料無料で対応しています。また、詳しい費用についてはホームページで紹介しています。
具体的には、弁護士に依頼した場合の着手金も原則として無料とし、未払いの残業代を回収することができた場合に報酬金として費用をいただいています。実際に会社から支払われた残業代から報酬金が支払われますので、お客さまの負担は最小限に抑えることができます。
5、まとめ
未払いの残業代がある場合には、時効が成立する前に会社に対して請求していくことが大切です。残業代請求をすること自体にはデメリットはありませんが、証拠集めや会社との交渉に不安があれば、まずは弁護士に相談をすることをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所 堺オフィスでは、メールのお問い合わせを事務員が24時間・365日受け付けております。また、残業代請求の弁護士へのご相談は何度でも無料で、オンラインでも承っております。
未払いの残業代請求をお考えの方は、残業代請求や労働問題の実績が豊富なベリーベスト法律事務所 堺オフィスまでお気軽にご相談ください。
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