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残業代にも最低賃金は適用される? 下回っているときできること

2023年08月28日
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残業代にも最低賃金は適用される? 下回っているときできること

大阪労働局の発表によると、令和4年10月1日以降、大阪府の地域別最低賃金は1023円になりました。これまでの最低賃金992円から31円の増額となり、初の1000円台へ引き上げとなりました。

毎月残業をしている労働者の方の中には、「思ったより給料が少ない」と感じる方もいるかもしれません。残業代も賃金にあたりますので、最低賃金を超える金額が支払われていなければ違法となります。

しかし、残業代が最低賃金を超えているかどうかは、法のルールに則して正しく計算をしなければならず、給与明細を見ただけでは判断することができません。今回は、残業代と最低賃金の関係や適切な残業代が支払われていない場合の対処法などについて、ベリーベスト法律事務所 堺オフィスの弁護士が解説します。

1、残業代の定義と最低賃金の関係

残業代と最低賃金にはどのような関係があるのでしょうか。以下では、残業代の定義と最低賃金の関係について説明します。

  1. (1)残業代とは

    労働基準法では、1日8時間・1週40時間を「法定労働時間」と定めており(労働基準法32条)、それを超えて働いた場合には、所定の割増率によって増額された残業代が支払われなければなりません(労働基準法37条)。

    また、労働者と使用者(会社)との間で定めた「所定労働時間」を超えて働いた場合にも残業代が支払われます。一方、所定労働時間を超えても、法定労働時間の範囲内の残業(法内残業)だった場合は、所定の割増率による残業代の増額は支払われません。

  2. (2)最低賃金とは

    最低賃金とは、最低賃金法によって定められた使用者が最低限支払わなければならない賃金の額をいいます。最低賃金の金額は、都道府県ごと設置されている最低賃金審議会による審議によって毎年改定されています。

    最低賃金には、特定の産業ごとに定められている「特定最低賃金」と都道府県ごとに定められている「地域最低賃金」の2種類あります。一般的に最低賃金というときには、地域最低賃金を指すことが多いです。最低賃金を下回る労働条件で契約をしたとしても、そのような賃金の定めは無効であり、最低賃金の金額で契約をしたものとみなされます(最低賃金法4条1項・2項)。

    そのため、最低賃金を下回る賃金であった場合には、労働者は、その差額分を使用者に対して請求することが可能です。

  3. (3)残業代も最低賃金を上回る必要がある

    残業代も賃金であることに変わりありませんので、残業代についても最低賃金による規制が及びます。そのため、法内残業については、最低賃金を上回る必要があり、法外残業については、最低賃金に割増率を乗じた金額を上回る必要があります。

2、時間あたりの残業代を計算してみよう

残業代が最低賃金を上回っているかどうかを調べるためには、1時間あたりの賃金額を計算しなければなりません。以下では、その計算方法について説明します。

  1. (1)最低賃金との比較対象となる賃金

    最低賃金との比較対象になる賃金は、通常の労働時間に対応する賃金となります。

    具体的には、会社から実際に支払われた賃金から、以下の賃金を控除したものが最低賃金との比較対象となります。

    • 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
    • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
    • 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外労働手当、深夜労働手当など)
    • 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日労働手当など)
    • 精皆勤手当、通勤手当、家族手当


    以下のケースを例に算出してみましょう。

    • 基本給15万円
    • 職務手当3万円
    • 通勤手当5000円
    • 時間外手当3万5000円
    → 合計 月収22万円


    最低賃金との比較対象となる月給は、「22万円(月収)-{5000円(通勤手当)+3万5000円(時間外手当)}=18万円」となります。

  2. (2)比較対象となる賃金を1時間あたりの金額に変換する

    時給によって働いている労働者であれば、時給額がそのまま最低賃金との比較の対象となりますが、月給によって働いている場合には、上記の計算で明らかになった比較対象となる賃金をベースに1時間あたりの基礎賃金を計算しなければなりません。

    1時間あたりの賃金額は、以下の計算式によって計算します。

    • 1時間あたりの賃金額=(最低賃金との比較対象となる)月給額÷1か月平均所定労働時間
    • 1か月平均所定労働時間=(365日-1年の休日合計日数)×1日の所定労働時間÷12か月


    なお、1か月平均所定労働時間を計算するためには、年間休日の日数を把握する必要があります。休日の日数を調べるには、当該事業所ごとに設置されている就業規則を確認する必要があります。

  3. (3)最低賃金との比較をする

    上記の計算によって算出された1時間あたりの賃金額と最低賃金とを比較することによって、支払われた賃金が最低賃金を上回っているかどうかを判断することができます。

    また、残業代は、「1時間あたりの賃金×残業時間×割増率」によって計算をしますので、この計算どおり残業手当が算定されているかどうかを計算すれば、残業代が最低賃金を上回っているかどうかを判断することができます。

    なお、固定残業代制度がとられている場合には、最低賃金を下回るケースもありますので特に注意が必要です。

3、適切な残業代を受け取れていないとき検討すべきこと

適切な残業代が支払われていない場合には、以下の事項を検討しましょう。

  1. (1)会社に対する未払い賃金の請求

    会社には残業時間に応じた残業代を支払う義務がありますので、適切な残業代が支払われていない場合には、会社に対して、未払いの残業代を請求することができます

    会社に対して未払いの残業代を請求する場合には、まずは会社との話し合いによって解決を図りましょう。会社が話し合いに応じてくれないという場合には、労働審判や訴訟なども検討する必要があります。

    なお、残業代請求には、各賃金支払日の翌日から3年という時効があります。未払いの残業代があることが判明した場合には、早めに対応することが大切です。

  2. (2)労働基準監督署への相談

    労働者が会社に対して未払い残業代の請求をしても、まともに取り合ってくれないケースも少なくありません。そのような場合には、労働基準監督署に相談をすることも有効な手段となります。

    労働基準監督署は、会社が労働基準法などの法律に違反しないように監督する機関であり、労働基準法などの法律違反が認められた場合には行政指導によって是正を求めることができます。

    残業代の未払いは、明らかな労働基準法違反ですので、調査の結果、残業代の未払いが認められた場合には、労働基準監督署による是正勧告などによって状況が改善される可能性があります。ただし、是正勧告には残業代支払いの強制力はないため、解決につながるとは限りません

  3. (3)弁護士への相談

    未払いの残業代があり、会社との交渉が難しいという場合には、弁護士に相談をすることをおすすめします。弁護士は、未払いの残業代の有無を判断して、会社との代理交渉をしたり具体的な対応などについてアドバイスをしたりします。

    また、弁護士に依頼をすることで、労働者個人で対応するよりも、未払いの残業代を回収できる可能性が高くなるといえます。

4、未払い残業代請求の依頼を受けた弁護士が行うこと

弁護士に未払い残業代請求を依頼することによって、以下のようなサポートを受けることができます。

  1. (1)正確な残業代計算が可能

    残業代を計算するためには、1時間あたりの賃金額を計算しなければなりません。そのためには、就業規則等を調べて1か月平均所定労働時間を計算したり、法内残業や法外残業を区別して細かく計算をしたりしていかなければならないなど非常に複雑な計算が必要となります。

    法律の知識がなければ正確に残業代を計算することが難しいため、残業代計算は弁護士に任せるのが安心です。弁護士であれば、迅速かつ正確に残業代計算を行うことができるだけでなく、残業代計算に必要となる証拠収集についてもサポートすることができます

  2. (2)会社との対応をすべて任せることができる

    弁護士に残業代請求を依頼すれば、その後の会社との対応はすべて弁護士に任せることができます。労働者個人では、会社に比べて交渉力に圧倒的な差があり、労働者個人からの請求にはまともに応じてくれないこともあります。

    しかし、労働トラブルの実績がある弁護士が交渉の窓口になれば、会社としても適当に扱うことができませんので、交渉によって解決することも期待できます。

    また、弁護士に任せることによって、1人で会社と交渉することによる精神的負担も大幅に軽減できるという点も、大きなメリットといえるでしょう。

  3. (3)労働審判や訴訟になった場合も適切な対応が期待できる

    会社との話し合いによって解決することができない場合には、交渉ではなく労働審判や訴訟といった法的手段によって解決を図ることができます。

    ただ労働審判や訴訟となれば、専門的な知識がないと適切に対応することが難しく、解決の機会を逃してしまう事態も生じかねません。

    弁護士に依頼をすれば労働審判への同席や訴訟への対応なども任せることができますので、それによって労働者の正当な権利を実現することが可能です。

5、まとめ

会社から支払われる給料は、必ず最低賃金額を上回るものでなければなりません。給与明細を確認して思ったより給料が少ないと感じた場合は、最低賃金を下回っている、もしくは未払いの残業代がある可能性があります。

そのような場合には、1人で悩むのではなく、まずは、ベリーベスト法律事務所 堺オフィスまでご相談ください。労働トラブルの実績豊富な弁護士が状況をヒアリングし、解決に向けてサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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