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残業代が出ないのは当たり前ではない! 違法の理由と請求手続き

2022年05月26日
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残業代が出ないのは当たり前ではない! 違法の理由と請求手続き

「残業代が出ないが全員が同じ状況であきらめている」「残業代がでないことが当たり前のように常態化している」など、残業代に関する悩みを抱えてらっしゃる方は少なくないでしょう。

しかし残業代が出ないことは、当たり前ではありません。

実際に、大阪労働局が発表した「令和2年における送検状況について」によると、大阪労働局・管下 13 の労働基準監督署が労働基準法違反被疑事件として検察庁へ送検したのは35件でした。そのうち、賃金不払残業(サービス残業)(労働基準法第37条違反)は2件、労働時間・休日等(労働基準法第32条、34条、35条等違反)は9件になります。これは極めて重大・悪質なケースのみを対象としていますから、実際の残業代未払い件数は上記よりもかなり多いと考えられます。

では残業代未を請求したい場合、どのようなケースであれば支払いの対象となるのでしょう。残業代の基本的な知識、消滅時効等で気を付けるべきこと、具体的な手順について、ベリーベスト法律事務所 堺オフィスの弁護士が解説します。

なお、当事務所ではメールのお問い合わせを事務員が24時間・365日受け付けております。また、残業代請求の弁護士へのご相談は何度でも無料で、オンラインでも承っております。今すぐ相談したいという方は、まずはお気軽にお問い合せください。

1、なぜ残業代未払いが起きるのか?

  1. (1)残業代未払いの背景

    残業代未払い問題の背景のひとつに、働き方改革の裏で横行する隠れ残業や、業績悪化を理由とする未払いなどがあります。

    働き方改革とは、さまざまなライフスタイルに合わせて無理なく働ける環境を整えるため、政府が推し進めている改革です。この働き方改革の主軸のひとつが、“長時間労働の抑制”です。 具体的には、“残業時間の上限規制”、“年5日間の年次有給休暇の取得義務づけ”などが導入されました。

    しかし、実際には、人員不足などが原因で働き方改革の規制に従うと期限内に仕事が終わらず、その結果、会社に隠れて残業をしたり、サービス残業をして仕事の帳尻を合わせるという問題が浮上しました。

    とはいえ、人員不足で業務が回らないのは、適切な労働力を配置しない使用者側の責任です。また、経営難も残業代未払いの正当な理由にはなりません。会社がどんな経営状況にあろうと、労働者は働いた分の対価を請求する権利を有しています。

    労働者にサービス残業をさせた企業には、“6か月以下の懲役または30万円以下の罰金”(労働基準法第119条)が科される可能性があります。ただ、サービス残業が発覚すれば即座に罰される訳ではなく、まずは是正勧告が行われることが多い傾向にあります。このことも、サービス残業が横行する一因かもしれません。

  2. (2)残業代未払いが問題となりやすい職種

    残業代未払い問題はどの業界・職種でも起こりうる問題ですが、とりわけ多いと言われている職種が、保育士・介護士・トラック運転手です。

    一つ目の保育士は、“慢性的な人手不足であること”、“労働時間管理が難しいこと”などが理由に挙げられます。所定労働時間のほとんどは園児たちの対応に充てられ、その後は連絡帳の手書き入力、おもちゃや衣装の手芸・工作などもこなさなければなりません。これらの作業は、記録に残しづらいという問題点があります。また、子どもが好きで保育士の仕事に就いた人も多いことから、使用者が「子どものことを大切に思うのなら(無償で)残業しても労働すべき」と人情に訴えると断りにくいなど、やりがい搾取になりやすい傾向があるといえるでしょう。

    二つ目の介護士も、“慢性的な人手不足”が問題となっている業界です。2015年の介護報酬改定により介護報酬が2.27%引き下げられたことも、介護現場の労働者に適切なサービス残業代支払われにくい一因と言われています。

    保育士と介護士がサポートする子どもとお年寄りは、いずれも他者からの手厚いケアを必要としているという共通点があります。したがって、ビジネスライクに仕事時間を区切ることが他の職種よりも難しいという問題があり、使用者にはより高度な管理能力が求められます。

    最後にトラック運転手です。運送業は移動が仕事の主となり、正確な労働時間の把握が難しいことから、残業代未払い問題が多い業界だと言われています。一方、ネット通販の利用の急増により仕事量が増え、慢性的な人材不足となり運転手への負担が増加していることも原因のひとつだと考えられます。

    請負契約や完全歩合制であることを主張して残業代を支払おうとしない使用者もいますが、労働の実態と雇用契約の条件によっては、未払い残業代を請求できる可能性があります。「残業はしているが、残業代を請求できるのかわからない……」といった場合は、まず労働問題の実績がある弁護士に相談することをおすすめします。

2、残業代が出ないのは当たり前ではない

  1. (1)労働基準法に残業・残業代の定めがある

    残業代が出ないのは当たり前ではありません。労働基準法では、原則として1日8時間・1週間40時間の“法定労働時間”を超えて労働させてはいけないと定められています(労働基準法第32条)。

    そして、1日の労働時間によっては休憩時間も必ず設けなければなりません。労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えることが使用者に義務付けられています(労働基準法第34条)。また、休日(法定休日)は、毎週1日、または4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならないとされています(労働基準法第35条)。

    以上が労働時間の原則であり、労使であらかじめ合意の上で届け出を行った場合のみ、労働者に時間外労働をさせることができます(労働基準法第36条)。

    この労使協定は、条文にちなんで“36(サブロク)協定”と言われています。労使協定とは労働者の代表と会社との間で交わされる約束です。労働者の代表とは、労働者の過半数で組織された労働組合などのことです。36協定を労働者の代表と締結していなければ、使用者は労働者に残業をさせることはできません。

    そして36協定に基づいて時間外労働・深夜労働(22時から翌朝5時)・休日労働をさせた場合、使用者は労働者に法定の割増賃金を支払わなければなりません(労働基準法第37条)。割増賃金とは、企業ごとに就業規則・労働契約等で定めている所定労働時間における1時間あたりの賃金に、法定の割増率を乗じて計算した賃金です。

    割増率は時間外労働・深夜労働・休日労働等によって異なるので、後ほど詳しく説明します。

  2. (2)朝礼・掃除・開店準備・体操等も労働時間

    法律上の労働時間とは“使用者の指揮命令下に置かれている時間”がすべて該当します。職務に関係する作業をしている時間のみとは限りません。

    たとえば、

    • 朝礼
    • デスク・ロッカーなどの掃除
    • 開店前の準備
    • 研修
    • 健康診断
    • 電話当番
    • トラックの荷待ち
    • など


    これらもすべて労働時間としてカウントされます。なぜなら、上記の時間は使用者の指揮命令に従って行動する必要があり、労働者一人ひとりが自己の判断で自由に行動できる時間ではないからです。

    なお、使用者の指揮命令については、口頭・書面・メール等による直接の命令がある場合だけでなく、置かれている状況から当然従わざるを得ないなどといった“暗黙の命令”がある場合も含まれます。たとえば、三菱重工業長崎造船所事件(最判平成12年3月9日)という判例では、始業時刻前・終業時刻後の作業服・保護服の着替え時間が、労働時間に該当すると判断されました。

  3. (3)残業代請求権の消滅時効は2年から3年に

    残業代請求権は労働者の権利ですが、消滅時効があることに注意が必要です。

    残業代請求権の消滅時効は、法改正により2020年4月から、“2年から3年”に延長されました。したがって、2020年4月1日以降の給料日に支払われる賃金の請求は、3年の時効期間が適用されます。なお、これはあくまでも民法改正に伴う暫定的な措置であり、いずれは民法上の債権消滅時効の規定に合わせて5年に延長される可能性があります。

    未払い残業代の請求する際は、時効消滅するまでに手続きを行うようにしましょう。

3、残業代が出ないのが違法にならないケース

  1. (1)変形労働時間制・フレックスタイム制

    変形労働時間制とは、1年などの一定期間の法定労働時間を超えない範囲内で、特定の日などに法定労働時間を超える労働をさせることができる制度です。繫忙期と閑散期の差が大きい業界などに適用されています。

    フレックスタイム制は、1か月を平均して1週間あたりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲で、各労働者が自由に始業・終業時間を決められる制度です。いずれも、制度の導入前に労使協定を締結する必要があります。

    なお、一定期間の平均が法定労働時間を超えていた場合には、残業代を請求できる可能性があります。また深夜労働と休日労働の割増賃金については、支払われなければならないとされています。

  2. (2)管理監督者

    管理監督者とは、部長や店長などの、いわゆる管理職のことです(労働基準法第41条)。法律上は、“経営者と一体的な立場”にあり、“労務管理の決定権限を有している”者を指しています。

    建前上は管理職という役職が割り当てられていても実際には裁量や十分な報酬が与えられていない“名ばかり管理職”であると判断される場合には、一般労働者と実質的に同じであるとして、残業代を請求できる可能性があります。また、管理監督者の場合も、深夜労働の割増賃金については支払われなければならないとされています。

  3. (3)みなし労働時間制

    みなし労働時間制とは、実際に働いた時間にかかわらず、あらかじめ定めておいた○○時間分働いたと“みなす”制度のことです。制度を導入する際は、対象業務や労働時間等についてあらかじめ労使協定を締結した上で、所轄労働基準監督署長に届け出を行う必要があります。

    みなし労働時間制は、下記の3種類あります。

    • 事業場外みなし労働時間制
    • 専門業務型裁量労働制
    • 企画業務型裁量労働制


    事業場外みなし労働時間制は、営業担当者や旅行会社の添乗員、その他出張が多い社員、在宅勤務者など、社外で働く人の労働時間を正確に把握することが難しい場合に適用される制度です(労働基準法第38条の2)。ただしスケジュールがあらかじめ細かく定められており、事業所外でも使用者からの指揮命令を絶えず受けているような場合には、労働時間の把握が可能であると判断され、みなし労働時間制が認められないケースもあります。

    専門業務型裁量労働制はシステムエンジニアや研究開発担当者など19種類の専門的職業を対象とする、みなし労働時間制です。また、企画業務型裁量労働制は、企業などにおいて企画、立案、調査および分析を行う労働者を対象としています。

    いずれも職務の性質上労働者の自由裁量に任せた方が、生産性が高まると判断されたことが制度創設の背景にあります。
    みなし労働時間制の場合でも、深夜労働と休日労働の割増賃金については支払われなければならないとされています。

  4. (4)高度プロフェッショナル制度

    金融商品の開発、資産運用、有価証券の売買取引、経営コンサルタント、新技術・商品の開発など特定の高度専門職を対象として、残業代規制をなくす制度のことです。対象となるのは、年収1075万円以上の高収入を得ており、高い交渉力を有している労働者です。導入前には、必ず労使委員会で対象職種や健康・福祉確保措置などを取り決め、労働者本人の同意を得てから、労働基準監督署長に届け出る必要があります。

  5. (5)自主的な持ち帰り残業

    使用者による明示・黙示の命令によらない、自主的な持ち帰り残業の場合は、残業代を請求できない可能性があります。
    しかし、使用者が「○日までに完成させてください」等と指示した上で、明らかに法定労働時間内では終わらない量の仕事を割り振っていた明確な証拠がある場合には、黙示の残業命令があったと認められる可能性があります。

    「労働者自身の努力不足だ。残業は命令していない」などと主張する使用者もいますが、使用者は労働者一人ひとりの能力に応じて、適切な仕事量を割り振る責任があります。持ち帰り残業でお悩みの際は、まずは弁護士にご相談ください。

4、残業代の算出方法

  1. (1)基本給を所定労働時間で割り、割増率を乗じる

    1時間あたりの残業代は、原則として以下の計算式に当てはめて算出します。

    基本給/1か月の所定労働時間×割増率

    割増率は、以下のとおりです。

    • 時間外労働……25%
    • 時間外労働(月60時間超)……50%(中小企業は2023年4月から)
    • 深夜労働(22時から翌5時)……25%
    • 休日労働……35%


    割増率は、働いた時間帯・曜日、1か月の総残業時間等によっても異なります。また、複数の条件に該当する場合は、加算して算出します。たとえば、深夜労働と休日労働が重なっている残業時間については、割増率が25+35=60%となります。

    未払い残業代のおおよその金額を知りたい場合は、ベリーベスト法律事務所の無料診断ツール・残業代チェッカーを、ご利用ください。なお、計算ツールはあくまでも簡易的なものであり、実際に請求できる金額は各企業の就業規則や契約内容等によって異なりますのでご注意ください。

  2. (2)遅延損害金・付加金も一緒に請求できる可能性

    未払い残業代は、本来受け取れるはずだった給料日から支払いが遅延しているということになります。したがって、その分の遅延損害金も受け取ることができる可能性があります。遅延損害金は、在職中は年3%、退職後は年14.6%で算出します(民法第404条2項、賃金の支払の確保等に関する法律第6条1項)。

    また、万が一裁判に発展した場合、未払い残業代と同額の付加金も請求できる可能性もあります。付加金とは、労働者に残業代を払わない悪質な企業に対して裁判所が科すペナルティです。ただし実際には付加金の支払いが命じられることは限定的です。

5、残業代請求を弁護士に相談するメリット

  1. (1)証拠収集のアドバイスをしてくれる

    残業代の請求手続きには証拠が不可欠です。弁護士に依頼するかどうか悩んでいる段階であっても、証拠集めは意識して行っていきましょう。

    未払い残業代の証拠は、一般的に以下のとおりです。弁護士に相談する際に証拠を用意しておけば、請求すべき金額や会社への対応について具体的なアドバイスがもらえます。

    • タイムカード
    • 勤怠管理表
    • 就業規則
    • 雇用契約書
    • メール履歴
    • 日記・メモなどの記録


    タイムカードや勤怠管理表の持ち出しが難しい場合は、退勤時に自分のメールアドレス宛てに「今から退社」などと送信するという方法もあります。「これは証拠になるのか?」と悩んだら、まずは弁護士に相談してみましょう。

  2. (2)会社と任意交渉してくれる

    会社に残業代請求の交渉をするのは精神的ハードルが高いという方は少なくありません。また、在職中であれば手続きや交渉に割く時間を捻出するのも困難でしょう。そういった悩みも弁護士に一任することで解決するでしょう。

    残業代請求の手続きでは、まず内容証明郵便という文書を会社に送り、未払い残業代を支払うよう伝えます。内容証明郵便を用いて残業代を請求することにより、消滅時効の進行が停止されます。そのため、未払い残業代を回収したいと思ったら、なるべく早く正しい金額を計算して、適切な方法で請求することが大切です。

    残業代の計算と内容証明郵便の作成には特に資格は必要ありませんので、自分で調べて手続きを行うことも不可能ではありません。しかし法的な手続きは一般の方には難しく時間もかかります。思わぬミスを回避するためにも、最初から弁護士に一任する方がスムーズに進む可能性があります。

  3. (3)労働審判・訴訟手続きを任せることができる

    会社が交渉に応じなかった場合は、労働審判・訴訟の順に移行することも考えられます。労働審判も訴訟と同じく裁判官が判断を下しますが、原則として3回以内の期日で審理が完了し、かかる期間も約2〜3か月とスピーディーな解決が特徴です。

    いずれも裁判所での手続きとなりますので、法律の専門知識や実務経験がない人が自力で行うのはかなり難しいでしょう。
    弁護士に依頼すれば、労働審判・訴訟などの手続きも一任することができます。また、労働者の主張に正当性があるということを裁判官に納得させるためには、弁護士の力が重要です。困った時はひとりで悩まず、労働問題の実績がある弁護士に早めに相談しましょう。

6、まとめ

残業代が出ないのは決して当たり前のことではありません。残業代の支払い義務は労働基準法に明記されています。また、自主的に持ち帰り残業をしたり、早出や休日出勤をしたりしている場合でも、使用者からの“黙示の命令”があると判断される場合には、未払い残業代の請求が認められる可能性があります。

残業代の計算方法や証拠集め等について分からないことや困ったことがあれば、ベリーベスト法律事務所 堺オフィスの弁護士までご相談ください。労働問題の実績が豊富な弁護士が細やかにヒアリングし、悩みの解決に向けて尽力いたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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