逮捕されたらどうなる? 流れや手続き不起訴に向けてできることとは

2021年04月15日
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逮捕されたらどうなる? 流れや手続き不起訴に向けてできることとは

大阪府警察の犯罪統計によると、令和2年の1年間に1万9646件が検挙されています。そのうち、1833人が堺市での検挙件数です。多いと感じるか少ないと感じるかは人それぞれかと思いますが、すべての人が何らかの事件を起こしてしまう可能性や逮捕される可能性を持っていることは確かです。

もし逮捕されてしまった場合、逮捕された人はその後どうなるのでしょう? ここでは、「そもそも逮捕とはどのようにされるものなのか?」、「逮捕された後の流れや手続き、身柄はどうなるのか?」など、気になる点について弁護士が詳しく解説します。

(出典:大阪府警察ホームページ「令和2年中の犯罪統計」)

1、逮捕には主に3つの種類がある

逮捕とは、犯罪を行ったと疑われる人(被疑者といいます)の身柄を拘束する強制処分です。逮捕は大きく3つの種類に分けることができます。

  1. (1)通常逮捕

    1つめは「通常逮捕」です。通常逮捕とは、裁判官が発付(命令などの文書を出すこと)する逮捕令状を被疑者に示し、どんな罪を犯したと疑われているのか、逮捕の理由を被疑者に伝えて身柄を拘束する手続きです。通常という言葉のとおり、被疑者を逮捕するときの原則的な流れになります。警察が疑わしいと感じる人を次々と逮捕してしまっては犯罪者ではない人を逮捕してしまうなどの危険が高まります。そこで、捜査機関ではない裁判所によって、逮捕する必要があるかどうかの判断を受け、逮捕の必要があるとされた場合のみ、令状が発付されるのです。

  2. (2)現行犯逮捕

    2つめは「現行犯逮捕」です。こちらは、今まさに犯罪を行っている人や、犯罪を行い終わったばかりの人の身柄を拘束(逮捕)することをいいます。現行犯の場合、人違いで逮捕する恐れがなく緊急性も高いため、通常逮捕のような裁判所のチェック、つまり逮捕令状がなくとも逮捕することができます。

  3. (3)緊急逮捕

    3つめは「緊急逮捕」です。緊急逮捕は、一定の重い罪(殺人や強盗など)を犯したと疑われる場合で、逮捕令状を発付する時間がないときに、まず被疑者を逮捕し、その後直ちに逮捕令状の発付を求める手続きをいいます。ただし、逮捕後に裁判官による許可(逮捕令状)が出なかった場合には、被疑者を釈放しなければなりません。

2、警察が呼び出しをする理由とは

窃盗や暴行、公然わいせつなど、何らかの犯罪を行った場合、前述したように、現行犯でなければ逮捕状なく逮捕されることはありません。

ただ、なかには犯罪後、逮捕はされていないけれど警察から電話などで呼び出しを受けるというケースもあるでしょう。これは逮捕を前提とした呼び出しなのでしょうか? 警察が呼び出しをする理由については以下のようなことが考えられます。

  1. (1)被疑者として呼び出されている

    何らかの刑事事件を起こしたのであれば、被疑者(罪を犯したと疑われている人)として呼び出され、「取り調べ」が行われるケースが多いでしょう。取り調べと聞くと、逮捕された状態で行われるイメージが強いかも知れませんが、すべての事件で逮捕されて取り調べが行われるわけではありません。

    そもそも犯罪を起こしたからといって必ずしも逮捕されるとは限らず、犯罪の種類や逃亡の恐れなどさまざまな事情を考慮したうえで、身柄の拘束がない「在宅事件」として扱われることもあります(逮捕された場合には「身柄事件」となります。また、いったんは逮捕されてもその後釈放され在宅事件となるケースもあります)。ここで誤解してはいけないのは、被疑者の身柄を拘束していないだけであって、事件の捜査自体は行われているということです。

    在宅事件の被疑者である場合には、身柄の拘束がないため通常と同じ生活を送ることができますが、必要に応じて都度、警察に呼び出されることになります。

  2. (2)参考人として呼び出されている

    警察から、参考人として呼び出されるケースもあります。被疑者としてなのか参考人としてなのか、呼び出された理由がはっきりしない場合も考えられます。

    いずれの場合でも、警察からの呼び出しに応じるかは任意です。ただ、警察も捜査するうえで必要と判断して呼び出しを行っているわけですから、応じずにいることで、警察官が自宅まで訪ねてくるなど、事態がより深刻化する可能性があります。被疑者である場合には逮捕される可能性もありますから、不安な場合にはあらかじめ弁護士に相談しておくのが良いでしょう。

3、逮捕後の流れ

傷害被疑者や詐欺被疑者など、犯罪を行ったとして逮捕された場合のその後の流れを見ていきましょう。

  1. (1)検察へ送致

    警察によって逮捕され、48時間以内(逮捕後の警察官による取り調べは48時間以内と決まっています)に釈放されない場合、被疑者の身柄・事件は検察庁へ送られます(検察官送致と呼ばれる手続き)。

    その後、検察官が「被疑者の身柄を拘束しておく必要がある」と判断した場合、送致から24時間以内に勾留請求がなされます。

  2. (2)勾留

    勾留とは、刑事手続きにおいて、被疑者の身柄を刑事施設に拘束することをいいますが、この勾留は原則10日間、ごく一部の例外を除き最大で20日間(逮捕されてから送致されるまでを含めると、拘束期間は最大23日間)と決まっています。このタイミングで勾留請求がされなかったり、あるいは勾留請求が認められなかった場合には、被疑者は釈放され、在宅事件として扱われることになります。

    逮捕後の最大72時間は原則として家族であっても面会することができませんが、勾留決定後の勾留期間は面会が可能です。

    この勾留期間中に、検察官によって起訴・不起訴の判断がなされます。起訴とは犯罪を行った疑いがある者として刑事裁判にかけられること、不起訴とは有罪の見込みがない等として裁判にかけられないことです。ちなみに、被疑者は起訴された時点で呼び方が変わり「被告人」となります。

  3. (3)刑事裁判

    起訴後は、裁判を経て判決を受けることになります。場合によっては裁判所で裁判にかけられず書面での判決(略式手続き)となることもあります。日本の刑事事件における起訴後の有罪率は99.9%と言われており、起訴はされたけれど裁判の結果無罪となることは極めて少ないということです。

4、逮捕できるのは警察官だけではない

警察官以外の人も逮捕権は持っています。警察官以外で逮捕権がある職業としては、検察官・麻薬取締官・労働基準監督官などが挙げられます。

また、逮捕権は私人(民間人)にもあるとされています。現行犯の場合には一般の人も被疑者の身柄を拘束することができるのです。ただし、当然ですが犯罪者を捕まえるためならば何をしても良いわけではなく、常識的に考えて「逮捕のために必要な範囲の実力行使」が許されるということです。

5、警察に逮捕されたらすぐに弁護士を選任すべき理由

窃盗や暴行、詐欺など、刑事事件で警察に逮捕された場合、すぐに弁護士に依頼するのが望ましいでしょう。その主な理由としては次のようなものが挙げられます。

  1. (1)接見禁止の期間でも面会ができる

    前述したように、逮捕後最大72時間(警察での48時間と検察での24時間)は面会が原則禁止されており、家族であっても会うことができません。この接見が禁止されている期間であっても弁護士であれば面会することができます。

    弁護士に家族への伝言を頼んだり、また、弁護士から取り調べの際のアドバイスをもらうことができます。逮捕されパニック状態に陥っている被疑者にとって強い味方となるでしょう。

  2. (2)被害者との示談交渉がスムーズになる

    被害者と示談が成立しているか否かが、検察官の起訴・不起訴判断に影響することも少なくありません。そんな示談交渉を、被害者の方と直接会うことができない被疑者に代わって弁護士が適切に行います。また、事件の種類などにもよりますが、起訴後であっても被害者との示談が成立していることで執行猶予の判決をもらえる可能性が高くなると考えられます。

  3. (3)不起訴を目指せる

    いったん起訴されてしまうと、その後の有罪率は99.9%に上るとお伝えしました。そのため、起訴される前、つまり逮捕直後の対応がとても重要だといえます。刑事事件の経験が豊富な弁護士に逮捕直後から活動してもらうことによって、不起訴を獲得できる可能性が高くなると言えるでしょう。

6、まとめ

今回は、逮捕や逮捕後の流れについてお伝えしました。罪を犯してしまう可能性はすべての人にあります。もしすでに罪を犯し、逮捕されるのではないかと不安を感じているようでしたら、ベリーベスト法律事務所 堺オフィスにご相談ください。刑事事件の経験豊富な弁護士があなたの支えになります。出頭や自首同行も行っていますし、まだ迷っている場合であってもお話を伺ったうえで適切なアドバイスをいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています