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自転車の傘差し運転による罰則とは|刑事責任と民事責任

2023年03月23日
  • 交通事故・交通違反
  • 傘差し運転
  • 罰則
自転車の傘差し運転による罰則とは|刑事責任と民事責任

大阪府は地形的に平らな道が多いという特性から、自転車の利用が盛んです。実際に、会社への通勤や学校への通学、日常の買い物などで自転車を活用している方は多いでしょう。

健康増進や環境への負荷なども考えれば、自転車利用の活発化は望ましいことですが、一方で、自転車事故の件数が多い、マナー違反が目立つなどの問題も注視されています。

本コラムでは、自転車の運転における交通違反のうち、とくに「傘差し運転」に注目して、どのような違反となるのか、罰則の内容、交通事故を起こしてしまった場合の責任などを、ベリーベスト法律事務所 堺オフィスの弁護士が解説します。

1、自転車での傘差し運転は違反! 適用される違反や罰則

法律に照らすと、自転車は歩行者ではなく「軽車両」として車の仲間に分類されています。交通ルールを定めている道路交通法などの法令は、自動車やバイクが守るべき法律を規定しているイメージが強いかもしれませんが、軽車両が守るべきルールも存在することを心得ておかなくてはいけません。

ここでは、自転車での「傘差し運転」に適用される違反や罰則を確認しましょう。

  1. (1)片手運転の禁止

    道路交通法第70条の「安全運転の義務」には、自転車を含め車両等の運転者について、「ハンドル・ブレーキ・その他の装置を確実に操作し、かつ、道路・交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」と定められています。

    この条文が適用されるパターンはいくつか存在しますが、なかでも典型的なものが「片手運転」です。片手で傘を差した状態だと、ハンドルを握ることができるのはもう片方の手だけです。

    当然、片手だけでは安全な姿勢を維持できず、フラフラと蛇行したり、転倒してしまったりといった危険を招くので、違反となります。

    罰則は同法第119条1項14号の規定により、3月以下の懲役または5万円以下の罰金です。

  2. (2)傘差し運転の禁止

    片手運転では違反になるなら「傘の握り部分をハンドルと一緒に持てば違反にならない」と考える方がいるかもしれませんが、傘差し運転そのものを禁止する規定も存在します

    道路交通法第71条の「運転者の遵守事項」には、第6号に「道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項」を遵守する義務があることが定められています。

    ここでいう「公安委員会が定めた事項」とは、各都道府県の公安委員会が「道路交通法施行細則」などによって定めた事項を指すもので、大阪府にも同細則が存在します。

    傘差し運転は道路交通法における「公安委員会遵守事項違反」となり、同法第120条1項10号が適用され、5万円以下の罰金が科せられます。

  3. (3)傘スタンド(ホルダー)も違法になる可能性がある

    ハンドル部分にスタンドを設置し、傘を固定するスタンドを、雨の日に愛用している方も多いでしょう。傘スタンドを使用すれば、片手運転には該当しません。

    しかし、「運転者の視野…を妨げ、…車両の安定を害」するような「積載をして車両を運転してはならない」とする道路交通法 第55条第2項に抵触するおそれがあります。

    また、狭い道などで通行人とすれ違った際、ホルダーに設置した傘が接触して相手に危険を及ぼした場合は、道路交通法 第70条の安全運転の義務において、危険行為とみなされる可能性があります。

2、傘差し運転が原因で交通事故を起こした場合の責任

自転車の傘差し運転は、ハンドル操作がおろそかになりやすいうえにバランスを崩しやすく、しかも傘が邪魔で視界が悪くなるので、歩行者に接触してしまう危険が高くなります。自転車が車の仲間である以上、歩行者と接触すれば交通事故です。

傘差し運転が原因で交通事故を起こした場合は、どのような責任を負うのでしょうか?

  1. (1)過失致死傷罪や重過失致死傷罪に問われる

    たとえ不注意やミスが原因でも、相手にケガを負わせたり、相手を死亡させたりすれば、犯罪になってしまいます。

    相手にケガを負わせた場合は、刑法第209条の「過失傷害罪」です。相手を死に至らしめてしまえば同法第210条の「過失致死罪」が成立します。さらに、その過失の程度が重大であった場合は同法第211条後段の「重過失致死傷罪」です。

    各罪には、次のように刑罰が予定されています。

    • 過失傷害罪……30万円以下の罰金または科料
    • 過失致死罪……50万円以下の罰金
    • 重過失致死傷罪……5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金


    とくに傘差し運転は、安全運転義務や運転者の遵守事項に反する危険な行為であるため、その過失の程度は重大であり、重過失致死傷罪が適用される可能性が高いでしょう。

    厳しい刑罰が予定されている重罪なので、単なる交通違反として扱われるのではなく、逮捕される危険も増します。

  2. (2)民事上の損害賠償責任も負う

    刑事上の責任と民事上の責任は別のものです。刑事事件として責任を問われ、刑罰を下されたとしても、民事責任が消えるわけではありません。自転車事故の加害者は、民法第709条に定められている「不法行為にもとづく損害賠償責任」を負います。

    たとえば、ケガの治療費や入通院を強いられたことの精神的苦痛に対する慰謝料、仕事を休むことになったために生じた休業損害などを金銭で賠償するのが一般的です。しっかり保険に加入していれば、これらのすべてを自己負担しなければならない事態にはならないでしょう。

    しかし、保険の賠償限度を超える責任が発生した場合は、損害賠償請求の訴訟を起こされてしまう事態になるかもしれません。過去には数千万円単位の賠償命令が下されたケースもあるので、万が一に備えた保険への加入が大切です。

3、傘差し運転で事故を起こして逮捕された後の流れ

傘差し運転は危険な行為であるものの、罰則は比較的軽く、それ自体は飲酒運転などのように極めて悪質性の高いものとは評価されていません。

単に傘差し運転をしていただけでは、警察官に見つかっても注意で済まされるか自転車警告カードを交付されるにとどまる可能性が高いでしょう。

ただし、傘差し運転が原因で重大な交通事故を起こしてしまった場合は、現場に駆けつけた警察官から現行犯逮捕されてしまうかもしれません。以下、逮捕された後の流れについて把握しておきましょう。

  1. (1)逮捕・勾留による身柄拘束を受ける

    警察に逮捕されると、その瞬間から身柄拘束を受けて自由な行動が制限されます。通勤や通学の途中だったとしても、会社・学校へ行くことは許されず、自宅へ帰ることも、家族に電話をかけて状況を知らせることもできません。

    この段階における警察の持ち時間は最大で48時間です。警察署の留置場に収容されて事故状況などの詳しい取り調べを受けたあとは、48時間が過ぎるまでに検察官へと引き継がれます。これが、ニュースなどでは「送検」とも呼ばれることの多い「送致」という手続きです。

    送致を受理した検察官は、みずからも取り調べをおこなったうえで、容疑者の処分を検討します。引き続き身柄拘束を続ける必要があると判断すれば、逮捕から72時間以内に「勾留」を請求しますが、捜査を続けるとしても身柄拘束の必要はないと判断すれば釈放したうえで在宅捜査となります。

    検察官が勾留を請求し、裁判官がこれを許可すると、10日間の勾留開始です。容疑者の身柄は警察へと戻され、検察官による指揮の下で警察が取り調べなどの捜査を進めます。

    10日間で捜査を遂げられない場合は一度に限り10日間以内の延長が可能なので、勾留による身柄拘束の期限は10日間から20日間です。

    逮捕・勾留による身柄拘束は最大で23日間にわたります。3週間以上も一般社会から隔離されてしまうので、仕事・学校・家庭への悪影響は計り知れません。

  2. (2)検察官が起訴すると刑事裁判が開かれる

    勾留が満期を迎える日までに、検察官が「起訴」または「不起訴」を決定します。起訴とは刑事裁判を提起すること、不起訴とは刑事裁判の提起を見送るという処分です。

    起訴されると、容疑者の立場は「被告人」へと変わり、刑事裁判が終わるまで勾留されます。この段階からは、勾留を一時的に解除する「保釈」の請求が可能です。しかし、保釈が認められなかった場合はさらに数か月にわたって社会から隔離される日が続くでしょう。

    刑事裁判の最終回では、裁判官から判決が言い渡されます。有罪判決が言い渡されて不服申立ての期限が過ぎると刑の確定です。刑が確定すると懲役・禁錮・罰金・科料といった刑罰を受けて前科がついた状態になります。

    前科がついてしまうと、公的な資格の制限を受けたり、国によって渡航制限を受けたりするので、仕事などの内容によっては大きな不利益を被ることになるでしょう。

4、傘差し運転で責任を問われたときは弁護士に連絡を

傘差し運転の容疑で、警察の捜査を受けたり、交通事故の加害者として責任を問われたりする事態になってしまった場合は、弁護士に相談してサポートを求めましょう。

  1. (1)逮捕の回避や処分の軽減に向けたサポートが期待できる

    傘差し運転は危険な行為ですが、逮捕の危険度は高くありません。ただし、街頭で活動中の警察官に現認されて注意を受けたのに傘差し運転をやめず逃走した、傘差し運転が原因で歩行者に接触して死傷させたといったといったケースでは、逮捕や厳しい刑罰を受ける危険が高まるでしょう。

    弁護士に相談すれば、逮捕や処分の軽減に向けたサポートが期待できます。交通違反や交通事故は、法律の定めに反する行為ではあるものの、悪意にもとづく積極的な犯罪とはいえないものが多く、不注意やミスによって善良な一般市民が、突然、刑事責任を問われる事態に陥るケースも珍しくありません。

    弁護士が弁護人となり、本人が誠実に捜査に応じる姿勢を示していることを説明すれば、在宅捜査とされることも期待できます。

    また、弁護士が弁護人として被害者への被害弁償及び示談を行えば、検察官が不起訴を選択したり刑事裁判における判決が軽い方向へと傾いたりする可能性が高まるでしょう。

  2. (2)民事的な責任の負担軽減に向けたサポートも期待できる

    傘差し運転が原因で交通事故を起こしてしまった場合は、被害者に与えてしまった損害を金銭で賠償する責任が発生します。

    交通事故の賠償金は、加害者と被害者の双方が負う過失の割合に応じて賠償額を決めることになりますが、傘差し運転をしていたとはいえ、一方的にすべての非があるとはいえないケースも多数です。

    たとえば、歩行者も歩きスマホをしていた、歩行者が友人らと歩道に広がって歩いており自転車側も避けようがなかったといった場合は、歩行者にもある程度の過失があるとして賠償額が相殺されるでしょう。

    交通事故の過失割合は、過去に起きた同様のケースに照らして判断されます。正しい過失割合の算定には、過失認定に関する知識や判例への理解が必要です。

    また、交通事故の賠償トラブルでは、被害者から過度の賠償を求められて対応に困るケースも目立つので、弁護士のサポートは欠かせません。

5、まとめ

自転車の傘差し運転は大変危険です。バランスを崩して転倒したり、視界が悪くなって歩行者に接触してしまったりするかもしれないので、雨天時に自転車を利用する際はレインコートやカッパを着用するか、あるいは別の移動手段を検討したほうが賢明でしょう。

傘差し運転には、法令にもとづいた刑罰が予定されています。警察官に注意された時点で傘差し運転をやめれば大きな問題にはなることはほとんどありませんが、現場から逃げようとしたり、歩行者と接触して死傷させてしまったりすれば、厳しく責任を追及されるかもしれません。

傘差し運転が問題となって責任を追及される事態になった場合は、ベリーベスト法律事務所 堺オフィスにご相談ください。

逮捕・刑罰の回避や損害賠償の負担軽減を目指して、経験豊富な弁護士が全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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