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占有離脱物横領罪とは? 放置自転車を拾った場合も有罪になるのか

2023年06月22日
  • 財産事件
  • 占有離脱物横領罪
  • 自転車
占有離脱物横領罪とは? 放置自転車を拾った場合も有罪になるのか

自転車の窃盗は、日本でも非常に身近な犯罪です。自転車の窃盗は、日本でも非常に身近な犯罪です。堺市が公表する統計データによると令和4年に認知された自転車盗は1263件もありました。

鍵がかかっている自転車を盗む行為や、明らかに直近で使用している自転車を盗んだ場合は、罪に問われることは想像できるでしょう。しかし、捨ててあるように見えた自転車や放置自転車に乗って持ち帰ってしまったらどうなるのでしょうか。そこで本コラムでは、放置自転車に乗って帰ったら問われる可能性がある罪やその刑罰、そして前科がつく可能性を回避する方法をベリーベスト法律事務所 堺オフィスの弁護士が解説します。

1、捨ててあった自転車に乗って帰ったら犯罪に問われる?

捨ててあった自転車に乗って帰って問われる可能性がある罪は、窃盗罪もしくは占有離脱物横領罪です。そのどちらにあたるかは、自転車が所有者の支配下にあるかどうかなどを総合的に判断されます。

かつて、バス停に置かれたカメラを盗んだ被告人は、占有離脱物横領罪なのか窃盗罪なのかが争われた裁判がありました。判決では、占有離脱物横領罪ではなく、窃盗罪であると判断されています(昭和32年11月8日 最高裁判決)。

判断要素は、カメラと持ち主との距離が20メートルと近いこと、カメラを置き忘れてから、被告人がカメラを取得するまでの時間が5分間と短かったことでした。距離と時間を考慮すると、カメラはまだカメラの持ち主の管理下にあると考えられたのです。

したがって、長期間放置されていると想定できる自転車を盗んだ場合は、窃盗罪ではなく占有離脱物横領罪に問われる可能性が高いといえるでしょう。

2、占有離脱物横領罪とは、概要と量刑を解説

占有離脱物横領罪は、刑法上では横領罪の一種とされており、刑法第254条で規定された「遺失物等横領」に該当します。条文を確認してみましょう。

刑法第254条(遺失物等横領)
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。


条文に記されているとおり、遺失物等横領罪の成立には2つの条件を満たしている必要があります。

  1. ①自己の物とした物が、遺失物、漂流物、そのほか占有を離れた他人の物である
  2. ②横領したこと


「遺失物」とは簡単にいえば落とし物で、本人の意思に反して管理下から離れた物を指します。「漂流物」とは、海や川などに流れ着いた物です。たとえば、海岸に流れ着いた所有者不明のボートなどが漂流物といえます。そして、「占有を離れた他人の物」とは、所有者の意思とは無関係に所有者の元から離れて占有している人がいない状態の物を意味します。

放置された自転車に乗ってしまった場合は、自転車の所有者が捨てたのではなく放置しているだけであれば、占有離脱物横領罪に問われると考えられます。

次に「横領」とは、他人の物を自分の物にすることを指します。自分の物にすることとは、自分の物にするという意思に基づき自分の管理下に置くことです。

したがって「放置自転車に乗って後から返すつもりだった」という場合は、占有離脱物横領罪には問われない可能性があります。とはいえ、放置自転車を一定期間以上乗り回していた事実がある場合は、「後から返すつもりだった」という言い逃れは通用しにくいでしょう。

ただし、粗大ゴミ捨て場等から廃棄自転車を持ち去っていた場合は、問われる罪が大きく変わる可能性があります。なぜなら、ゴミの管理業者や自治体の所有する物を持ち去ったことになるため、窃盗罪に問われる可能性がでてくるでしょう。

窃盗罪で有罪になった場合は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金と規定されています。他方、占有離脱物横領罪に問われた場合は1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料です。したがって、窃盗罪に問われた場合はより刑罰が重くなってしまうでしょう。

3、占有離脱物横領罪は、どのような処罰が下る?

一例として、放置自転車に乗っていたら警察に呼び止められて、防犯登録番号などから他人の自転車に乗っていることが発覚した場合の刑事手続きを解説します。

  1. (1)被疑者として取り調べを受ける

    盗んだ自転車に乗っていることが発覚すると、警察は窃盗もしくは占有離脱物横領罪の被疑者として取り調べを行います。警察署の取調室にて、捜査官から自転車を盗んだ経緯や状況などが確認されます。

    警察が事件の被疑者を逮捕するためには、逃亡、証拠隠滅のおそれがあること、などの要件を満たしていなければなりません。放置自転車を盗んだことを認めており、氏名や住所を明かしていれば逮捕される可能性は低いでしょう。逮捕されなければ、その後の勾留という最大20日間に渡る身柄拘束をされることもありません。

    ただし、放置自転車を盗んだことを見とがめられて逃亡した、前科がつくことをおそれて氏名を告げないなどの言動があった場合は、逮捕されてしまうリスクがあります。

  2. (2)微罪処分になる可能性も

    微罪処分とは、前科がつくことなくその場で身柄の拘束が解かれることを指します。過去に前科前歴がなく反省をしているようであれば検察に送致されることなく、その場で説諭されて罪に問われないこともあります。

    微罪処分になる判断基準は明確ではありません。しかし、被害金額が2万円以下であれば微罪処分になりやすいといわれています。それでも、前科前歴や本人の態度などにも左右されますので確実とはいえません。

  3. (3)在宅事件扱い

    占有離脱物横領罪であれば、逮捕されない可能性が高いと説明しましたが、逮捕されなかったからといって訴追されないわけではありません。逮捕等の身柄拘束が行われずに捜査される事件のことを「在宅事件」と呼ばれています。在宅事件扱いになれば、留置場等に身柄が拘束されることはなく、必要なときのみ警察署や検察庁などに呼び出され取り調べを受けることになります。

  4. (4)起訴不起訴の判断

    事件が警察から検察に送致されると、検察官は所定の捜査ののちに起訴するかどうかを決定します。起訴されると、刑事裁判が開かれます。不起訴になればそれ以上罪に問われることはありません。

    日本の刑事裁判での有罪率は99%を超えるといわれており、起訴されれば有罪判決を免れることは容易ではありません。刑事裁判において有罪判決が下されれば、懲役刑に処されなくても前科がついてしまいます。

4、前科がつかないようにするためには弁護士に相談すべき

放置されていた自転車に乗っていたことで、罪に問われてしまったとき、どうしたらよいのでしょうか。前科をつけたくないとお考えであれば、まずは弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談するメリットは大きく2点あります。

  1. (1)身柄拘束を阻止するための弁護活動ができる

    刑事事件の被疑者になるとさまざまな不都合が生じますが、社会生活に大きな影響を与えるのが身柄の拘束です。犯行を認めていない、反省している様子がない、証拠を隠滅するおそれがあるなどの状況によっては、逮捕されることもあります。

    逮捕されれば最大48時間は警察によって身柄が拘束され、その後検察に身柄が送致されて最大24時間身柄が拘束されます。送致を受けた検察官は勾留の要否を判断します。勾留とは最大20日間続く身柄の拘束です。勾留が決定すると逮捕から最長23日間も身柄の拘束が続くことになり、社会生活への影響は避けられません。会社員が刑事事件で訴追されていることが発覚すれば懲戒免職処分を受ける危険性がありますし、学生の方は退学処分になるおそれがあります。

    これらのリスクを回避するためには、弁護士による勾留阻止のための働きかけが必須です。逮捕されてからなるべく早い段階に弁護士に依頼して検察官や裁判官に、勾留が不要であることを働きかけることで、勾留を回避できる可能性が高くなります。特に被害額が少ない犯罪の場合は、勾留阻止に成功する確率が高まりますので、ぜひとも弁護士にご相談ください。

  2. (2)放置自転車の所有者が判明したら示談交渉ができる

    放置自転車でも、所有者が防犯登録をしており所有者が変わっていなければ警察によって所有者の氏名等がわかります。その場合は、被害者と示談を成立させることで起訴を回避できる可能性があります。

    占有離脱物横領罪や窃盗罪においては、示談書を取り交わし自転車の購入費用と若干の慰謝料を支払うことで示談が成立します。示談のためには、被害者の連絡先の入手や、今後トラブルを発生させないための隙のない示談書の作成が求められます。ご本人では示談交渉がうまくいかないことも少なくないため、あらかじめ弁護士に依頼することをおすすめします。

5、まとめ

放置自転車に乗って持ち帰ってしまうと、状況に応じて占有離脱物横領罪もしくは窃盗罪に問われる可能性があります。これらの罪に問われている場合は、早急に弁護士に今後の対応を相談しましょう。

弁護士が、勾留や起訴を回避するための弁護活動を行うことで、社会生活への影響を最小限に抑え、不起訴処分を得られる可能性が高まります。ベリーベスト法律事務所堺オフィスでは、適切なアドバイスを行うとともに弁護活動に取り組みます。放置自転車を利用したがために警察から連絡が来てしまったときは、お気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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