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虚偽の通報をした場合の罰則とは? 問われる可能性がある罪を解説

2021年12月06日
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虚偽の通報をした場合の罰則とは? 問われる可能性がある罪を解説

令和2年3月、YouTube動画の撮影のために財布を路上に置き、財布を盗まれたと虚偽申告した岸和田市の二人組が、大阪府西成署に逮捕されました。

このような虚偽申告を行った場合、偽計業務妨害罪(刑法第233条)に問われる可能性があります。ほんのイタズラのつもりでも、嘘の申告をしてしまった際には、逮捕や罰則に問われる可能性があるのです。

本コラムでは、堺オフィスの弁護士が、虚偽の通報をした場合の罰則や、問われる可能性がある罪について解説します。

1、軽犯罪法違反の虚構申告罪

事実とは異なることを警察等に通報する行為は、「虚構申告罪」に問われる可能性があります。虚構申告罪は、軽犯罪法によって規定されている犯罪です。まずは軽犯罪法の条文を確認してみましょう。

軽犯罪法第1条
左の各号の1に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
第16項 虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者


虚構とは、事実ではないことです。つまり、事実ではない犯罪や災害を公務員に告げると軽犯罪法第1条第16項に違反することになります。事実ではないのに「あの人が万引きするところを見た」、「あの人は路上で痴漢行為を働いている」などと警察に告げることは、虚構申告罪に問われるおそれがあるのです。

なお、軽犯罪法1条第16項に違反して有罪になれば、「拘留又は科料の処する」と定められております。拘留(こうりゅう)とは、刑事施設に身柄を拘束される自由刑の一種ですが、身柄拘束期間は1日以上30日未満と短期間のものが該当します。他方、科料(かりょう)とは、1000円以上1万円未満の金銭納付を命じられる財産刑です。

軽犯罪法の罰則は比較的軽いといえますが、有罪判決を言い渡されれば前科がつくことになります。

2、刑法の虚偽告訴等罪

事実と異なる虚偽の告訴などをすると、前述の虚構申告罪ではなく、刑法で定められた「虚偽告訴罪」に問われる可能性があります。

刑法第172条
人に刑事罰又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、3月以上10年以下の懲役に処する。


虚偽告訴罪が成立するための構成要件は以下の通りです。

●刑事・懲戒の処分を受けさせる目的で虚偽の通報や告訴などを行ったこと
虚偽告訴罪が成立するためには、警察に虚偽の通報をした人物が、特定の相手を「刑事罰又は懲戒の処分を受けさせたい」などと考えていたかどうかが判断のひとつとなります。つまり、通報した方が「あの人を刑務所に入れてしまいたい」、「あの公務員を懲戒免職にしたい」「前科を付けてやりたい」などと考えて通報した場合が該当します。

●虚偽の告訴、告発、その他の申告を行うこと
「虚偽の告訴や告発、申告」とは警察等の捜査機関に、事実とは異なる犯罪を通知して、対象者の処罰を求めることを指します。通報した方が、「虚偽である」と認識している必要があります。

なお、虚偽の被害届の提出は、「告訴」や「告発」には該当しませんが、「その他の申告」に該当するとして、虚偽告訴罪が成立する可能性があります。

虚偽告訴罪に問われて有罪判決が下された場合の刑罰は、「3年以上の懲役又は10年以下の懲役」と規定されています。軽犯罪法の、虚構申告罪よりも重い刑罰といえるでしょう。なぜなら、虚偽告訴罪には罰金刑がなく、執行猶予がつかなければ刑務所に服役しなければならないためです。

また、軽犯罪法違反となる虚偽申告罪の罪に問われるだけであれば、逮捕という措置によって身柄の拘束を受けることはほとんどありません。しかし、虚偽告訴等罪の被疑者となった場合は、逮捕されてしまう可能性があります。

3、偽計業務妨害罪に該当するケースとは

前述のとおり、軽犯罪法の虚構申告罪や刑法の虚偽申告等罪は、警察などの捜査機関に、相手に刑事罰等を受けさせる目的で虚偽の事項を申告、もしくは告発などをすることによって問われる罪です。どちらも、公務員や警察に事実でないことを告げることで罪に問われることになります。

では、公務員や警察ではなく、公共の場で、店員や通りすがりの人などに虚偽の犯罪情報を流布して警察等が出動したケースはどうなるのでしょうか。

結論から言えば、その場合は「偽計業務妨害罪」に問われる可能性があります。偽計業務妨害罪は、「信用毀損及び業務妨害」として刑法第233条を根拠として罪に問われる犯罪です。まずは刑法第233条の条文を確認してみましょう。

刑法第233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。


たとえば、インターネットに「近所の〇〇が、会社に爆弾を仕掛けるらしい」などと書き込み、それを見た警察が出動して事態の収束にあたろうとした、などのケースでは、偽計業務妨害罪に問われると考えられます。たとえあなたが警察に直接通報しなかった場合であっても、偽計業務妨害に問われる可能性がある点に注意が必要です。

冒頭でご紹介した、JR天王寺駅で女性が虚偽の申告をした事件は、通報の相手が「公務員や「捜査機関」ではありません。したがって、もし取り調べを受けることになるのであれば、虚構申告罪や虚偽告訴罪ではなく、本項の偽計業務妨害罪として罪に問われることになる可能性が高いと考えられます。

偽計業務妨害罪で検挙されて有罪となった場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

4、虚偽の通報に慰謝料を請求される可能性も

警察等に虚偽の通報を行う、虚偽の犯罪行為をインターネットに書き込むなどの行為によって、相手方が損害を受けることがあります。その場合、上記の刑事罰だけでなく民事上の責任を負わなければなりません。

上記の罪に問われて有罪にならなくても、被害者から損害賠償請求を受ける可能性があるということです。損害賠償請求を受けた場合は、弁護士に相談の上今後の対応を検討してください。損害賠償請求に応じなければ、刑事告訴や被害届の提出がなされる可能性があります。すでに、告訴されている場合は、起訴される可能性が高まりますので、速やかな対応を依頼しましょう。また、罰金刑が下されたとしても、被害者への損害賠償金は支払う義務が発生します。無視しない方が良いでしょう。

5、虚偽の通報をしてしまい不安な方は弁護士に相談を

虚偽の通報をしてしまい不安な方は、弁護士に相談することをおすすめします。その理由について知っておきましょう。

  1. (1)弁護士に相談することで被害者と示談が可能になる

    日本では、刑事裁判の有罪率は99%以上といわれています。つまり、起訴されてしまえば有罪判決を免れることは非常に困難です。しかし、起訴されなければ事実上無罪判決と同等の扱いになります。前科がつかず罰則を受けることもありません。

    そのために有効となる手段のひとつが、被害者との示談です。刑事事件における示談では、示談交渉の段階で、被害者が被害届や告訴を取り下げるようお願いすることができます。もし、そのお願いに合意してもらったうえで示談が成立すれば、起訴される可能性は非常に低くなるでしょう。

    被害者との示談は加害者自身でもできますが、双方の関係がこじれているときに交渉することは難しいでしょう。しかし、第三者である弁護士が介入することにより、被害者の方も冷静に示談に臨めるようになります。

    虚偽の通報によって前科がつくことや刑罰を受けることを回避したい方は、弁護士に相談して被害者との示談をはかりましょう。

  2. (2)警察に同行してもらえる

    警察の業務を妨害したとされているケースでは被害者は警察となるので、示談はのぞめません。しかし、その場合でも自ら罪を認めて警察に自首、もしくはすみやかに出頭することで、今後の処分に良い影響を与える可能性があります。その場合は、弁護士に同行してもらうことが、有利に働きますので、弁護士に相談してみましょう。

    まだ警察が犯罪を把握していない時点で、自ら罪を認める行為は、自首扱いとなり減刑が認められることもあります。すでに警察が犯罪を察知して捜査を開始している場合は、自首ではなく出頭という扱いになり、減刑は見込めないものの、捜査機関には好印象を与えます。

    また、自ら罪を認めて犯人であることを申し出ることによって、逮捕による身柄拘束を回避できる可能性が高まります。そもそも逮捕は、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるときに行われる措置です。したがって、罪を認めて申し出ることで、逮捕の必要性がないと判断される可能性が高まります。

    自首や出頭の際に、弁護士が同行している場合は、さらに「身元がしっかりしているから」と、逮捕のリスクを軽減できます。

6、まとめ

他人に嫌がらせを行う目的で、警察などに虚偽の通報・申告・告訴等を行うと、さまざまな罪に問われる可能性があります。場合によっては10年以下の懲役という重い処分が言い渡される可能性があり、軽視はできません。

現在、虚偽の通報を行ったことで不安を抱えているのであれば、まずは弁護士に相談することを強くおすすめします。今やるべきことを的確に判断してもらい、助言を受けましょう。

ベリーベスト法律事務所 堺オフィスでは、虚偽通報をしてしまった方からのご相談を受け付けております。親身になってお話を伺い、最適な解決策を提案します。警察から連絡が来て出頭する際に同行するサービスも行っております。ご気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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