子どもが詐欺に巻き込まれたことを知らなかったまま逮捕されたら?
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昨今、オレオレ詐欺や電子マネーを悪用した詐欺など、詐欺事件が多発しています。特に、特殊詐欺といわれる複数人の犯人グループがそれぞれの役割を担って行う詐欺が増加中です。堺市だけでも、平成30年に120件、約2億9300万円の被害が発生し、警戒を呼び掛けています。
この、特殊詐欺の中には、自分が詐欺に関わっていることに気づかないまま、詐欺行為に加担してしまうケースが存在します。とはいえ「知らなかった」では済まされません。たとえ気づかなくても、犯罪に加担していることで罰せられてしまうことがあります。事実、「受け子」と呼ばれる、カードの受け取りや現金の受け渡し役は未成年の学生が担うケースが少なくありません。
もしも、自分の家族が詐欺事件に関与してしまったら、家族はどのような対応ができるのでしょうか。今回の記事では、未成年の子どもが詐欺事件で逮捕されてしまった際の対処法について解説していきます。
1、詐欺罪とは?
詐欺罪とは、他人を欺いて金品をだまし取る行為を指す犯罪です。ここでは、詐欺罪の概要や量刑について解説します。
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(1)詐欺罪の定義
詐欺罪とは、刑法第246条に規定されている犯罪です。他人を欺くことで、財物をだまし取る、あるいは財産上の不法な利益を得る行為を指します。
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(2)詐欺罪の量刑
詐欺罪の罰則は「10年以下の懲役」で、罰金刑がない重大な犯罪です。実際にどれほどの懲役刑になるかは被害額などによって変わり、初犯であれば執行猶予がつく可能性があるでしょう。しかし、犯行の内容が悪質だと認められた場合は実刑判決になるケースもあり得ます。
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(3)詐欺罪が成立する要件
詐欺罪が成立するには、いくつかの要件を満たす必要があります。
詐欺の意思をもって、他人をだまし、相手がだまされた結果、財産を引き渡すという一連の流れに関連性がなくてはいけません。ですので、加害者がだまそうとして行動しても、被害者がそれとは関係なく好意で財物を引き渡した場合は罪には問われません。
2、詐欺事件に巻き込まれたら
詐欺容疑で逮捕されるケースでは、自らの意思で詐欺をはたらき逮捕される場合とそうでない場合があります。意外と多いのが、詐欺とは知らずに行った行為が実は詐欺の犯行に利用されており、本人の自覚がない状態で逮捕されるケースです。
知らないうちに詐欺事件に巻き込まれてしまった場合は、どのような処罰を受けてしまうのでしょうか。
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(1)詐欺と知っていて行為をした場合
自分がする行為が「詐欺」だと知りながら実行した場合は、当然ですが共犯として詐欺罪が適用されて刑罰の対象となります。だまし取った金額や悪質性の度合いによって変わりますが、多くの場合は起訴されて、有罪判決を受けることになります。
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(2)知らずに詐欺に加担してしまった場合
詐欺行為に巻き込まれた方の中には「詐欺であると知らなかった」というケースも存在します。友達から頼まれて、深く考えずに指定の場所に荷物を運んだら、実は荷物の中身が詐欺でだまし取った金銭や物品だったというケースもあります。
過去の裁判例では、アルバイト料が高額であった、受け取りに不審な点があったなどの事情がある場合、詐欺であることを認識できたとして有罪となったケースがあります。他方、以前から同様の仕事を依頼されており、料金もそれほど高額でなかった場合などは、「詐欺だと知らなかった」という主張が認められ、無罪となるケースもありました。 -
(3)知らずに加害者となってしまった際の対応
注意していたにもかかわらず、詐欺に加担してしまった場合、加害者はどのような対応をするべきなのでしょうか。
本当に知らずに巻き込まれてしまった場合は、詐欺であると気づくのが困難であったことや、細心の注意を払っていたことを証明する必要がありますが、知らなかったことの証明は難しいものです。
そんな場合は、法律の専門家である弁護士に早急に相談することをおすすめします。
3、逮捕後の流れ
詐欺罪で逮捕されてしまった場合はどのように手続きが進んでいくのでしょうか。ここでは、14歳以上の未成年が詐欺行為をはたらいて逮捕された場合の流れについて解説していきます。成年とは逮捕後の流れが異なる点に注意が必要です。
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(1)逮捕
詐欺行為をはたらくと警察に逮捕されます。逮捕の方法は、現行犯逮捕と通常逮捕があります。現行犯逮捕は、犯罪行為をはたらいているところを現場で警察におさえられて、逮捕されることを指します。
他方、通常逮捕と呼ばれる逮捕は、犯罪行為の後日、警察の捜査などで行為が浮き彫りになり、容疑者として特定されて逮捕状が発行され、逮捕されることです。どちらにしても、警察に逮捕されると警察施設に身柄を移されて取り調べを受けることになります。
逮捕方法にはそのほかに「緊急逮捕」がありますが、容疑が詐欺罪だけで適用されることはほとんどないと考えられます。 -
(2)勾留
警察では最大48時間の取り調べを受け、その後は検察に身柄を移されて最大24時間の取り調べを受けます。その後、必要があれば勾留請求が裁判所になされ、10日間の取り調べを受けます。さらに10日間延長される場合もありますが、必要に応じて少年鑑別所に身柄を移され、2週間から最大8週間の観護措置が取られる場合もあるでしょう。
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(3)家庭裁判所
未成年が犯した事件の場合、成年の事件とは手続きが異なり、すべて家庭裁判所に移送されます。
成年者が事件を起こして起訴されると刑事裁判に発展しますが、未成年の場合は「少年審判」となり、少年の状況を考慮し、少年院送致や不処分、検察官送致などの処分が決定されます。
4、弁護士に依頼するメリット
未成年が刑事事件を起こしてしまった場合、重要になるのが「更生」です。まだ20歳未満の少年であるため、事件を起こしてしまっても、早期に更生して社会生活に戻ることが十分期待できるでしょう。
そのためには、事件の早期解決と処分の軽減を得る必要があります。ここでは、少年事件における弁護士への相談について解説します。
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(1)逮捕直後の面会
少年事件でも、逮捕されてから最大72時間は弁護士の他には面会もできず、学校に行くこともできません。
警察の取り調べにたった一人で耐えることは、成年でも難しいものです。依頼を受けた弁護士であればすぐに面会し、取り調べのアドバイスや本人への差し入れを行えます。さらには、学校や職場へ復帰できるよう働きかけることも可能です。 -
(2)処分の軽減
詐欺罪は重い罪ですので、処分が重くなる可能性は十分考えられます。しかし、処分が重くなり、万が一少年院に行くようなことになれば、その分、社会復帰も遅くなります。復帰が遅くなれば本人が更生するハードルが上がり、負担も重くなると考えられます。
処分の軽減を目指すためにも、弁護士の協力のもと、本人の反省と更生への積極性を示すことが重要になります。まずは、示談を通じて被害者に謝罪するとともに損害賠償を行い、深く反省していることを示します。そのほかにも、今後、詐欺に巻き込まれるきっかけとなった人間関係を絶つ努力や、それが実行できる環境を準備していくことが重要です。
弁護士であれば、それらの準備についてアドバイスをしたり、示談交渉を代行したりすることができます。少年審判においても、重すぎる処分が下されないよう、付添人として働きかけることが可能です。
5、まとめ
もしも子どもが詐欺事件に関与していまい逮捕されてしまったら、一刻も早く弁護士にご相談ください。逮捕されると身柄を拘束されてしまい、ご家族であっても面会が制限されます。さらに、身柄拘束が長期化すれば、日常生活に戻るのに時間がかかり、将来に及ぼす影響が大きくなってしまう可能性は否定できません。
特に、詐欺事件の場合は被害が深刻になるケースが多く、被害額や悪質性によっては、少年鑑別所や少年院に送られる可能性も考えられます。子どもが更生し、1日も早く日常生活に戻り、その後の人生に悪影響を残さないためにも、早期の事件解決が肝心です。
子どもが詐欺事件に関与しているのではないか、逮捕されてしまったらどうしようとお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所・堺オフィスで相談してください。少年事件に対応した経験が豊富な弁護士が早期の事件解決に向けてサポートします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています