不法投棄がバレるとどうなる? 発覚する4つの理由と罰則

2023年04月24日
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不法投棄がバレるとどうなる? 発覚する4つの理由と罰則

ごみの「不法投棄」は深刻な問題であり、刑事罰の対象です。堺市のホームページでも、不法投棄の目撃情報を最寄りの通報するよう市民に協力を呼びかけています。社会全体が監視しているので、不法投棄を繰り返しているといずれはバレてしまうでしょう。

不法投棄は、単なるルール違反やマナー違反の域にとどまらない犯罪行為であり、法律の定めに従って厳しく処罰されます。

不法投棄の多くは、人目から隠れてこっそり捨てたり、個人を特定できる情報を隠したりするなど、自分が捨てたことがバレないように対策をとるものですが、バレてしまう理由があります。

本コラムでは「不法投棄がバレる理由」に注目しながら、不法投棄で問われる罪や罰則、発覚してしまった場合の正しい対応などを、ベリーベスト法律事務所 堺オフィスの弁護士が解説します。

1、「不法投棄」とは? どんな法律の違反になるのか?

実は「不法投棄」は誤解の多い用語です。
ここでは「不法投棄」の意味を正しく理解したうえで、どういった法律の違反になるのかを確認しましょう。

  1. (1)「不法投棄」の意味

    一般的に「不法投棄」とは、ごみの捨て方や捨てる場所、捨てる方法などのルール違反といった意味で広く解釈されています。

    しかし、決められた曜日ではない日にごみを出す、こみの分別ができていない、ほかの収集エリアのごみステーションにごみを出すといった行為が、法的にただちに違法となるかはグレーゾーンです。

    法的な意味での「不法投棄」とは、「廃棄物」を法律で定められている方法に従わずに処分する行為を指します。

    ここでいう「廃棄物」とは、ごみや粗大ごみのほか、燃え殻・汚泥・ふん尿・廃油・廃酸・廃アルカリ・動物の死体・そのほかの汚物や不要物のことです。

  2. (2)廃棄物処理法の違反になる

    不法投棄をはじめ、廃棄物の不適正な処理などを罰するのは「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」、通称「廃棄物処理法(廃掃法)」です。

    同法16条には「何人(なんぴと)も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と明記しています。
    ここでいう「みだりに」とは「正当な理由がないのに」と解釈すればよいでしょう。

    当然、ごみや不要品などを他人の敷地や山中・河川敷などの自然に捨てるといった不法投棄は、この定めに違反します。

    また、先に挙げたルールに従わないごみ出しは、すべてがただちに違法となるわけではありませんが、ごみの種類や量、ごみを捨てた場所、ルール違反の頻度によっては「みだりに捨てた」と判断されてしまう可能性があるので注意が必要です。

  3. (3)不法投棄の容疑で逮捕された事例

    実際に、不法投棄の容疑で逮捕された事例を挙げてみましょう。

    • アパートの大家から、家人が不在になった部屋の片づけを有償で請け負った男が、運び出した空気清浄機など大量のごみを近隣のコンビニ駐車場に投棄した疑いで逮捕された
    • 無許可で住宅解体工事を請け負った男が、解体工事によって生じた廃棄物を他人の資材置き場などに捨てた疑いで逮捕された
    • 開業医の男が、医療廃棄物の処理費用を節約しようと考えて、高速道路のサービスエリアに設置されているごみ捨て場に注射針のパッケージなどを繰り返し投棄した疑いで逮捕された


    これらはいずれも特に悪質なケースですが、刑事事件に発展すれば逮捕や厳しい刑罰を受けるおそれがあります。

2、不法投棄はどんな罰を受ける? ケース別の罰則

不法投棄は犯罪なので、当然、事件化されてしまえば法律に従って処罰されます。
ここでは、ケース別に不法投棄の罰則を確認していきましょう。

  1. (1)個人が不法投棄した場合

    個人が家庭ごみなどを不法投棄した場合は、廃棄物処理法第16条の違反となります。同法第25条14号が適用され、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金が科せられるだけでなく、その両方が科せられることもある重罪です。

    なお、個人の場合はどこからが廃棄物処理法違反となる不法投棄にあたるのかが問題になります。

    たとえば、たばこの吸い殻を路上に捨てる、いわゆる「たばこのポイ捨て」行為も不法投棄にあたるかもしれません。

    しかし、実際には「軽犯罪法」第1条27号の「公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者」という規定が適用されるにとどまるでしょう。軽犯罪法違反の罰則は拘留または科料という廃棄物処理法違反の罰則と比べると各段に軽いものです。

    どの法令が適用されるのかは、投棄したごみ・廃棄物の種類や量などを参考として悪質性の高さに照らして判断されます

  2. (2)法人が不法投棄した場合

    事業活動によって生じた廃棄物のうち、燃え殻・汚泥・廃油・廃酸・廃アルカリ・廃プラスチック類などは「産業廃棄物」にあたります。

    産業廃棄物を排出した事業者は、廃棄物処理法第3条1項の定めに従って、みずからの責任において適正に処理しなければなりません。

    法人の代表者や代理人・使用人などが、法人の業務に関して生じた産業廃棄物を不法投棄すると同法第32条1項1号が適用されます。

    不法投棄した本人には5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科せられますが、それだけでは済まされません。法人にも3億円以下の罰金が科せられます

  3. (3)不法投棄の目的で廃棄物を収集・運搬した場合

    不法投棄をする目的で廃棄物を収集・運搬すると、廃棄物処理法第26条6号の違反になります。
    罰則は3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方です。

3、不法投棄はこうやってバレる! 発覚する4つの理由

通常、不法投棄は人目を忍んでおこなわれるものです。
もちろん、誰が捨てたのか分かってしまうような手がかりも消したうえで用心して捨てるでしょう。

それなのに、なぜ不法投棄はバレてしまうのでしょうか?

  1. (1)警察などのパトロールなどでバレる

    警察は市街地だけでなく郊外や山間部・沿岸部なども幅広くパトロールを実施しています。不審点があればすぐに職務質問を受けるので、人目を忍んでごみを捨てられる場所を物色していたり、不法投棄の現場付近をうろついていたりすると、不法投棄の容疑をかけられてしまうでしょう。

  2. (2)防犯カメラの映像からバレる

    不法投棄が頻繁におこなわれている現場では、監視強化のひとつとして防犯カメラが設置されていることがあります。不法投棄の様子が撮影されていれば、まさに「動かぬ証拠」です。

    また、現場にはカメラが設置されていなくても、付近のコンビニやガソリンスタンドなどの防犯カメラを解析すれば不法投棄の犯人として特定されてしまうかもしれません。

  3. (3)目撃者からの通報でバレる

    不法投棄の現場を目撃した一般市民が警察に通報してバレてしまうケースもめずらしくありません。
    不法投棄は、常に誰かに目撃される可能性があると考えるべきです。

  4. (4)投棄された廃棄物に残された情報からバレる

    直接の住所・氏名などが記載されたものを捨てていなくても、投棄された廃棄物に残された情報を詳しく調べれば元の持ち主にたどり着くことがあります。

    たとえば、テレビなどの家電製品は製造番号から販売店が判明するので、販売店に問い合わせれば会員登録などの情報から持ち主が判明するかもしれません。

4、不法投棄でトラブルになったら弁護士に相談を

不法投棄は廃棄物処理法の違反となる行為であり、個人でも厳しい刑罰が予定されています。実際に逮捕された事例もあるので、容疑をかけられたら素早く対応しなければなりません。

不法投棄に関するトラブルの解決には、弁護士のサポートが必須です。

  1. (1)逮捕の回避や早期釈放に向けた弁護活動が期待できる

    不法投棄は社会から厳しく非難される犯罪行為ですが、発覚したからといってかならず逮捕されるわけではありません。

    逮捕は、犯罪の容疑がある者に「逃亡または証拠隠滅を図るおそれ」があり、裁判官が許可した場合に限って許される手続きです。

    つまり、逃亡や証拠隠滅を図るおそれがなければ逮捕されないので、逮捕を避けたいならこれらの要件を否定する必要があります。

    また、不法投棄の後日になって突然逮捕されたり、不法投棄の現場を目撃されてその場で現行犯逮捕されたりした場合は、法律の規定に従って身柄拘束を受けます

    逮捕の段階で最大72時間、逮捕に続く勾留の段階で最大20日間、合計すると最大23日間にわたって社会から隔離されてしまうので、家庭や仕事などに与える影響は甚大です。

    弁護士に依頼すれば、逮捕を避けるための捜査機関へのはたらきかけや早期釈放を実現するための対応が期待できます。

    逮捕されず任意の在宅事件として処理されることになれば、家庭・仕事など普段どおりの生活を送りながら取り調べを受けるので、社会的な悪影響は最小限に抑えられるはずです。

  2. (2)厳しい刑罰の回避に向けた弁護活動が期待できる

    不法投棄が事実であり、検察官が刑事裁判を提起した場合は、廃棄物処理法に定められている範囲の刑罰を受けます。

    個人の場合でも懲役や高額の罰金が予定されていますが、弁護士に依頼すれば、検察官や裁判官に対して深い反省や再犯防止のために講じた措置などを伝えるなど、不起訴に向けた活動をすることが可能です

    弁護士によるはたらきかけを受けて検察官が不起訴を選択すれば、刑事裁判が開かれないので刑罰は科せられません。

    また、検察官が起訴に踏み切った場合でも、弁護士がとくに悪質な意図があったわけではない旨を主張することで刑罰が軽い方向へと傾く可能性も高まるでしょう。

5、まとめ

不法投棄は許されない犯罪行為であり、社会全体が監視を強化しています。うまくバレずに捨てたと思っていても、あらゆる情報から犯人として特定されてしまうでしょう。

逮捕や厳しい刑罰を避けるためには弁護士のサポートが必要です。不法投棄をしてしまった場合や、ごみ捨てなどのトラブルで不法投棄の疑いをかけられてしまった場合は、ベリーベスト法律事務所 堺オフィスにご相談ください。

刑事事件の実績ある弁護士が、全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています