逮捕や起訴はどれぐらいの期間? その流れや勾留・拘留
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大阪府警察が公表している刑法犯の検挙人員の統計資料によると、令和3年に検挙された人数は、1万3626人でした。
家族や友人が逮捕されてしまった場合には、多くの方がパニックに陥ります。逮捕に対する驚きと共に、これから何が起きてどのような手続きが進むのか見通しがまったくつかないというのも、ひとつの原因でしょう。
逮捕後の手続き・拘束期間、起訴の流れ、勾留について知ることは、逮捕されたご本人はもちろん、残された家族にとっても大切です。ベリーベスト法律事務所 堺オフィスの弁護士が解説します。
1、「逮捕」とは何か
逮捕とはどのようなことをいうのでしょうか。以下では、逮捕に関する基本事項と逮捕された場合の身柄拘束期間について説明します。
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(1)そもそも逮捕とは
逮捕とは、被疑者に犯罪をしたと疑われる相当の嫌疑があり、逃亡のおそれまたは証拠隠滅のおそれがある場合に、被疑者の身柄を強制的に拘束する処分のことをいいます。
罪を犯した場合には、必ず逮捕されると考える方も多いですが、身柄拘束という重大な権利侵害を伴う処分であることから、逮捕をするためには、刑事訴訟法が規定する要件を満たした場合に限られます。
また、逮捕には、- 通常逮捕
- 現行犯逮捕
- 緊急逮捕
の3種類があります。
逮捕の時期や逮捕状の要否などの違いがありますが、いずれも被疑者の身柄拘束を伴う処分であるという点では共通します。 -
(2)逮捕されるとどのくらいの期間拘束されるのか
警察では、被疑者を逮捕した時点から48時間以内に検察官へ送致するか釈放しなければなりません。また、警察から送致を受けた検察は、24時間以内に勾留請求または釈放の判断をします。
したがって、逮捕された場合には、勾留決定までに、最長で72時間の身柄拘束を受けることになります。
ただし、軽微な犯罪であったり、被害者との間で示談が成立していたり、そもそも嫌疑がなかったような場合には、検察官に送致されることなく釈放されることもあります。
また、勾留請求された場合は、逮捕から最長で23日間にわたって身柄を拘束される可能性があります。詳しくは、次章で解説します。
2、「起訴」はいつごろ決まる?
起訴はいつごろ決まるのでしょうか。以下では、起訴されるまでの期間について説明します。
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(1)そもそも起訴とは
起訴とは、検察官が裁判所に公訴を提起することをいいます。検察官によって起訴されると、刑事裁判が行われ、事件の審理が行われます。
日本の刑事裁判では、検察官によって起訴された場合には、90%以上が有罪となるとされています。
起訴するかどうかは、原則として検察官だけが判断することができます。犯罪の嫌疑がない、被害者との間で示談が成立しているなど、さまざまな要素を判断材料とします。
なお、不起訴となった場合には、逮捕されていたとしても前科が付くことはありません。 -
(2)起訴されるまでの期間
警察が捜査を開始してから起訴されるまでには、どのくらいの期間がかかるのでしょうか。
起訴されるまでの期間は、被疑者の身柄拘束を伴う「身柄事件」かそうでない「在宅事件」かによって異なってきます。
① 身柄事件の場合
身柄事件の場合には、一般的に逮捕、勾留、起訴(または不起訴)という流れで手続きが進んでいきます。
前述の通り、逮捕された場合は、48時間以内に検察官に送致(送検)され、24時間以内に勾留請求または釈放の判断がなされます。調査のために引き続き身柄拘束の必要があると判断した場合には、検察官が裁判所に勾留請求をします。
裁判官が勾留を認めた場合、そこから10日間の身柄拘束が行われます。勾留は延長が可能ですので、勾留延長が認められた場合には、さらに最大で10日間の身柄拘束が続きます。そのため、勾留の期間としては、最長で20日間となります。
検察官は、勾留期間の満期までに起訴・不起訴の判断をすることになりますので、身柄事件では逮捕から起訴されるまでは、最長で23日間となります。
② 在宅事件の場合
在宅事件とは、被疑者の逮捕・勾留をせずに調査が進みます。被疑者の身柄拘束を伴わないため、身柄事件のように期間についての厳格なルールは存在しません。そのため、捜査開始から起訴までの期間はケース・バイ・ケースといえます。
複雑な事件であれば、捜査開始から起訴まで1年以上もかかることもありますが、一般的な事件であれば数か月程度で起訴または不起訴の判断が下されることになります。
3、「拘留」「勾留」の違い
「拘留」と「勾留」は、どちらも「こうりゅう」と読みますが、まったく異なる内容です。以下では、拘留と勾留の違いについて説明します。
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(1)拘留とは
拘留とは、刑罰の一種であり、1日以上30日未満の期間、刑事施設に収監をするという処分です。このように犯罪者の身柄を拘束する刑罰のことを「自由刑」といい、自由刑には、拘留の他に、懲役、禁錮があります。
拘留は、自由刑の中で最も身柄拘束期間が短い、軽微な刑罰ですので、拘留が法定刑に存在する犯罪としては、以下のような比較的軽微な犯罪が挙げられます。- 公然わいせつ罪
- 暴行罪
- 侮辱罪
- 軽犯罪法違反
なお、拘留の場合には、懲役や禁錮のように執行猶予が付くことはなく、拘留の刑罰が言い渡された場合には、必ず実刑となります。
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(2)勾留とは
勾留とは、被疑者または被告人の逃亡・証拠隠滅を防止するために、被疑者・被告人の身柄を刑事施設に留置し、身柄拘束をする処分のことをいいます。
勾留は、刑事裁判により有罪が確定する前であっても、逃亡や証拠隠滅を防止する必要がある場合には行うことができます。起訴前の勾留期間は、勾留延長もあわせると最長で20日間となります。
また、起訴後の勾留期間は、2か月とされていますが、継続の必要がある場合には1か月ごとに更新可能となっています。ただし、起訴後の勾留については、保釈が認められていますので、裁判所から保釈決定を受け、保釈金を納めれば身柄が解放されます。
4、逮捕・起訴されたら、弁護士へすぐに相談するべき
逮捕・起訴された場合には、すぐに弁護士に相談をするようにしましょう。
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(1)逮捕中に接見(面会)できるのは弁護士だけ
被疑者が逮捕されると最長で72時間の身柄拘束を受けることになります。身柄拘束中は、捜査機関からの取り調べを受けることになり、慣れない環境では、やってもいないことを自分がやったと認めてしまうおそれもあります。
逮捕直後から接見し、アドバイスができるのは、弁護士だけです。逮捕期間中は、たとえ家族であったとしても、被疑者と面会をすることができません。
もし、家族や友人が逮捕されてしまったという場合には、すぐに弁護士に相談をして、面会をしてもらうようにしましょう。 -
(2)早期の身柄解放や不起訴に向けた弁護活動
逮捕・勾留による身柄拘束期間は、最長で23日間にも及びます。社会生活を送る一般の方にとっては、身柄拘束による不利益は非常に大きなものとなります。
また、検察官によって起訴された場合には、ほぼ確実に有罪判決が言い渡されますので、たとえ執行猶予が付いたとしても前科が残ることによる不利益も大きいなものとなります。
刑事事件においては、積極的に身柄解放や不起訴に向けた活動を行わなければ、有利な処分を得られる可能性は低くなります。身柄拘束をされている被疑者では、そのような活動を行うことはできませんので、少しでも有利な処分を獲得したいという場合には、早めに弁護士に相談をすることが大切です。 -
(3)被害者との示談交渉
被害者がいる犯罪では、被害者との間で示談を成立させることができれば、その後の処分において有利に扱ってもらうことができます。そのため、有利な処分を獲得するためには、早期に被害者との示談を成立させることが重要となります。
しかし、犯罪の被害者は、加害者やその家族に対して恐怖、怒り、恨みなどのマイナスの感情を有していますので、加害者から被害者に接触しようとしても拒まれてしまうことが多いです。また、被害者と面識のない場合には、そもそも連絡をとることも難しいといえます。
しかし、弁護士であれば、捜査機関から被害者の連絡先を聞くなどして面識のない被害者とも接触をすることが可能です。弁護士が示談交渉の窓口になることによって、被害者としても安心して示談交渉に臨むことができますので、示談成立の可能性が高まるといえるでしょう。
5、まとめ
逮捕された場合には、法律上、期間についての厳格なルールが定められていますので、期間内に検察官による起訴または不起訴の判断が下されることになります。これは、裏を返せばその期間内に効果的な弁護活動を行わなければ有利な処分を獲得することが難しくなるということです。
早期に弁護士に相談をすることによって、有利な処分獲得に向けてできる選択肢も増えますので、逮捕された場合には、お早めにベリーベスト法律事務所 堺オフィスまでご連絡ください。
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