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交通事故被害者が通院したとき請求できる慰謝料額は? 弁護士が解説

2023年06月22日
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交通事故被害者が通院したとき請求できる慰謝料額は? 弁護士が解説

堺市が公表する「令和3年堺の交通事故統計」によると、堺市内を行政区別にみると、令和3年中は堺区、西区、北区の順で事故が起きた件数が多かったことがわかっています。

私たちはいつ交通事故の被害者になるのかについて予想することはできません。実際に被害者になってしまったとき、相手方の保険会社などを通じて初めて、受け取れる慰謝料の内容について知るケースが多いのではないでしょうか。しかし、本来、事故被害者側が通院費などどの項目で請求できるのかについては知っておくべきことですし、場合によっては相手方の提示に納得できないこともあるでしょう。そこで本コラムでは、交通事故被害者が請求できる「慰謝料」とその項目などについて、ベリーベスト法律事務所 堺オフィスの弁護士が解説します。

1、交通事故における慰謝料とは?

交通事故に遭ったときに受けられる補償のひとつとして「慰謝料」という言葉をよく耳にすると思います。「慰藉料」という漢字が使われることもありますが、「慰謝料」も「慰藉料」も同じ意味で、特に区別はされていません。よく聞く言葉ではありますが、それが何なのかを厳密に考えたことのない方も多いのではないでしょうか。そこで、まず「慰謝料」とは何かを説明します。
民法第709条には、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と書かれています。簡単に表現すると、加害者の落ち度のある行為によって他人に損害を与えたときは、損害を賠償しなければいけないこととされているのです。

そして、続く民法第710条には、「他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。」と書かれています。つまり、財産以外の損害についても、加害者は賠償しなければならないこととされているのです。

この「財産以外の損害」というのは、精神的な苦痛などを指すと解釈されています。たとえば、車にキズがついたので修理が必要になったとか、ケガの治療に出費を要したといった損害は、被害者の財産にマイナスの影響をもたらしますので、財産的な損害です。これとは別に、精神的な苦痛を負ったとしても被害者の財産にマイナスの影響は生じていません。そのような財産にマイナスの影響がない場合でも、精神的苦痛を負ったときには、それを「財産以外の損害」として金銭に換算し補償を受けられるようにしましょうというのが民法第710条の趣旨なのです。
まとめると、「慰謝料」というのは、民法第710条によって認められた「精神的苦痛に対する金銭的補償」ということができます。

2、慰謝料には種類があるの?

交通事故によってケガをすれば、被害者は、そのケガによる痛みや、入院や通院を余儀なくされたことから精神的苦痛を負います。そのため、加害者はその精神的苦痛に対する補償をしなければならないわけです。そして、弁護士は、その慰謝料のことを「傷害慰謝料」と呼んでいます。また、「傷害慰謝料」は、入院の期間、通院の回数や期間を基に金額が算出されることから、「入通院慰謝料」と呼んだりもします。

これとは別に、「後遺障害慰謝料(後遺症慰謝料)」という慰謝料もあります。ある程度の治療をしたものの後遺症が残ってしまったとき、その後遺症が残ってしまったことについて被害者は精神的苦痛を負うと考えられます。そこで、その精神的苦痛を後遺症の重さに応じて補償するのが「後遺障害慰謝料」と呼ばれるものなのです。
すなわち、交通事故でケガをして入院と通院をすることになったとき、被害者は、加害者に対して「入通院慰謝料(傷害慰謝料)」を請求することができますし、さらに後遺症が残ってしまったときには、「入通院慰謝料」に加えて「後遺障害慰謝料」も請求できることになるのです。

3、慰謝料の額はどのように決まるの?

「慰謝料」というのは、精神的苦痛に対する補償であるといいました。車にキズがついて修理が必要になった場合には、修理費用が損害額であるため、損害額を明確に示すことができます。同様に、治療費にしても、病院に対して支払った費用が損害額であるため、明確です。このような財産的な損害に対して、慰謝料は、財産以外の損害ですので、金額に換算することが容易ではありません。同じようなケガを負ったとしても感じ方は人それぞれでしょうから、精神的苦痛の大きさも人それぞれのはずです。軽い打撲を負った事故でも、車が怖くて道路を歩けなくなったという方もいれば、大けがをしているのに事故のことは何とも思っていないという方もいるのです。
しかし、だからといって、ケース・バイ・ケースで人それぞれの精神的苦痛の程度を吟味し、個別に慰謝料の額を決めるのかというと、それは容易ではありませんし、日々大量に生じる交通事故の紛争を解決するという要請にも馴染(なじ)みません。また、同じような大きさの事故で同じようなケガをしているのにもかかわらず、人によって慰謝料が100万円であったり1億円であったりバラバラであるとしたら、解決の内容が平等であるとはいい難いでしょう。
そこで、どのような場合にいくらの慰謝料を認めるべきかという基準をあらかじめ定めておくことが合理的であると考えられているのです。そして、このような慰謝料の算定基準があれば、同じようなケガを負った人には同じような額の慰謝料が認められるという公平性が実現されることになりますし、加えて、他人にどのような損害を与えたらどのような補償をしなければならないかという予測可能性も担保されることになるのです。

4、入通院慰謝料で知っておくべき3つの基準

では、慰謝料の算定基準とは誰がどのように決めているのでしょう。実は、慰謝料の算定基準というのはひとつではありません。慰謝料の算定をしなければならない立場の保険会社、裁判所、弁護士の団体などがそれぞれで算定基準を定めているのです。

①自賠責基準
まず、慰謝料の算定基準のなかで知っておきたい基準は、自賠責保険の基準です。自賠責保険は、国が法律で定めた強制保険であり、法令の根拠に基づいて算定基準が定められています。
そのため、自賠責保険を扱う会社がどこであろうと、同じ算定基準に基づいて支払額が算定されることになっています。この自賠責保険によって支払われる慰謝料の算定基準を「自賠責基準」と呼んでいます。
そして、自賠責保険の入通院慰謝料額の算定方法は、

  • 通院期間×4200円
  • 入通院実日数×2×4200円


のいずれか少ないほうです。 これは法令の根拠に基づくものですので、保険会社は自賠責基準に拘束されることになり、これよりも下回っても上回ってもいけないのが原則です。

ただし、ここでよく勘違いをしてしまいがちなのですが、常にこの基準で計算した額が払われるのかというと、そうではありません。たとえば、180日間で100回の実通院をした場合、4200円×180=75万6000円が自賠責基準によって定まる額です。しかし、自賠責保険では、傷害による損害の保険金は120万円までという限度額が決まっています。これは、治療費、通院交通費、休業損害などもすべて合わせて120万円までなのです。100回も通院していると治療費だけでこの枠の多くを使っていますので、75万6000円分も慰謝料に充てる保険金は残っていないのです。
なお、この自賠責基準は、自動車事故でケガを負った当事者を救済するために国が定めた最低限の補償と考えられています。そのため、ケガをした当事者に落ち度(過失)がある場合でも、原則として減額されることはありません。ケガをした当事者に事故の発生について7割以上の責任(過失割合)があるときにだけ、保険金の減額があることとされていることに特徴があります。

②任意保険基準
次に知っておきたい基準として、任意保険会社の基準があります。これは、各任意保険会社が独自で定める社内基準です。かつては各任意保険会社に共通する統一基準が存在しましたが、保険が自由化されて以降、各社が独自に定めることができるようになりました。したがって、保険会社によって慰謝料の基準が違うということもあり得るのです。

この任意保険基準というのも、それぞれの保険会社が必ず自社の基準に従っているかというと、そうではないようです。保険会社は、自賠責保険の枠を残したまま自賠責基準を下回る額しか払わないということはできませんが、それ以外の拘束はないのです。
そして、任意保険基準は公表されていないため、各社の基準に従った支払いがされたのかどうか、検証することもできません。
示談交渉時に保険会社が提出してきた損害内訳表には、慰謝料の金額の横に、「当社の基準に基づき計算しました。」と書かれているだけで、どのような計算をしたのか分からないことも少なくありません。

③裁判所基準(弁護士基準)
もう一つ知っておきたい基準として、弁護士や裁判官が使う慰謝料算定基準があります。これも、ひとつの基準があるわけではなく、公益財団法人日弁連交通事故相談センターが発行する通称「青い本」、その東京支部が発行する通称「赤い本」、その愛知県支部が発行する通称「黄色い本」、大阪弁護士会交通事故委員会の発行する通称「緑本」などがあり、それぞれ少しずつ異なった慰謝料算定基準が定められています。

「赤い本」の基準に基づいて算定すると慰謝料額が高くなることが多いため、被害者の立場で算定するときは、まずは「赤い本」の基準を用いることが多いです。ただし、地方ごとで通用する基準が違っていて、弁護士の間では、「●●地裁では赤い本で計算してくれたよ」とか「××地裁では青い本だった」という情報交換をすることもよくあります。
このように、裁判所で使われている基準もひとつではありませんが、これらをまとめて、「裁判所基準(弁護士基準)」と呼んでいます。

このように、慰謝料の算定基準は、大きく分けて「自賠責基準」「任意保険基準」「裁判所基準」という3つの基準があります。自賠責保険は、最低限の補償と考えられていますので、その基準によって算出される慰謝料は、この3つの基準のなかでもっとも低い金額になっています。そして、その次に高いのが「任意保険基準」であり、もっとも高いのが「裁判所基準」です。

この3つの基準に共通することは、いずれも、入院日数、入通院期間、通院日数を元に金額が決まるということです。そのため、仮に明らかにケガをしている場合であっても、病院での治療を受けなければ、これらの算定基準では評価されません。ケガの程度に応じた適切な慰謝料を受け取るためには、症状に見合った適切な期間や日数の治療を受ける必要がありますので、ご注意ください。

ところで、もっとも高い裁判所基準で算出した慰謝料よりもさらに増額してもらうことはできるのでしょうか。交通事故案件を多数扱っていると、「加害者や保険会社の態度が悪いから増額してほしい」という相談をよく受けます。しかし、このような理由で慰謝料の増額が認められることはほとんどありません。慰謝料の増額が認められるのは、加害者の運転について悪質性や危険性が極めて高い場合と考えておいてください。具体的には、加害者の酒酔い運転やひき逃げなどの場合には、その悪質性や危険性の高さから増額が認められる可能性があるでしょう。冒頭で触れたあおり運転にしても、その悪質性や危険性の程度次第では慰謝料の増額が認められる可能性があるでしょう。

5、入通院慰謝料をもらえる時期と手続きの流れ

入通院慰謝料は、入院日数、入通院期間、通院日数に応じて金額が決まります。そのため、被害者の慰謝料額を算定するためには、入院日数、入通院期間、通院日数が確定していなければなりません。すなわち、治療が終わらないうちは慰謝料額が確定しませんので、慰謝料をもらえる時期は、原則として治療が終了してからなのです。後遺症が残った場合は、治療の終了がないようにも思いますが、治療に効果がみられなくなった時期でいったん区切りをつけ(区切りをつけるタイミングを「症状固定」といいます。)、その症状固定となったタイミングまでの入院日数、入通院期間、通院日数を元に慰謝料を算定することになります。

慰謝料を受領(じゅりょう)する流れですが、通常は、治療が終了したあとに保険会社から慰謝料を含む示談金の提案があります。この金額を了承できることもあれば、了承できずに金額の交渉をすることもあるでしょう。被害者は、保険会社との協議がととのえば、その旨の書面の取り交わしをし、その後、保険会社から慰謝料を含むすべての損害費目についての示談金が振り込まれることになります。
ですので、慰謝料を受け取ることができるのは、治療が終了し、保険会社との示談が成立したあとということになります。

ケガの治療中に、支払いが確定している慰謝料の一部を先に受け取る「内払い」をしてもらえることもありますので、内払いが必要なときは、保険会社に内払いをしてもらいたいと相談してみましょう。

また、被害者本人が保険会社と交渉したときは、慰謝料の金額は、「任意保険基準」で算定されます。しかし、被害者が弁護士に保険会社との交渉を任せたときには、「任意保険基準」ではなく「裁判所基準(弁護士基準)」で慰謝料の算定をしてもらえるのが通常です。上述したとおり、「任意保険基準」よりも、「裁判所基準(弁護士基準)」のほうが慰謝料額は高くなることが通常ですので、より高い慰謝料を受け取るためには、弁護士に交渉を任せることが有効といえます。

6、まとめ

今回は、慰謝料とは何かということを説明してきました。慰謝料には、3つの算定基準があり、より高い慰謝料を認めてもらうためには、裁判所基準(弁護士基準)で慰謝料を算定することが有効であることを知っていただけたことと思います。
交通事故でケガを負ったときには、保険会社から補償を受けることのできるもの以外にもさまざまな出費が必要になってきますし、保険会社から治療費の支払いを受けることができなくなったあとも病院に通院しなければならない方もいるでしょう。そのような場合、できるだけ高い金額で慰謝料を受け取っていれば、これらの出費の足しにすることもできます。
交通事故の被害に遭ったときには、より手厚い補償を受けられるよう、ベリーベスト法律事務所 堺オフィスの弁護士への依頼を検討してください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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