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交通事故における過失割合の修正要素。過失割合に納得できない時は?

2023年01月19日
  • その他
  • 過失割合
  • 修正要素
交通事故における過失割合の修正要素。過失割合に納得できない時は?

堺市が公表している交通事故統計によると、令和3年に発生した交通事故(人身事故)の件数は、2487件で、昨年から87件増加しました。

交通事故では、被害者側であっても一定の過失割合が生じることがあります。過失割合は、最終的な賠償額にも影響が生じることにもなりますので、保険会社から提示された割合に納得ができない場合は、そのまま受け入れることなく、修正要素を示しながら、適切な過失割合になるように争っていくことが大切です。

今回は、交通事故における過失割合の修正要素について、ベリーベスト法律事務所 堺オフィスの弁護士が解説します。

1、過失割合と修正要素

交通事故の過失割合とはどのようなものなのでしょうか。また、どのような場合に交通事故の過失割合が修正されるのでしょうか。

  1. (1)交通事故の過失割合とは

    交通事故の過失割合とは、交通事故の当事者に、交通事故の発生についてどの程度の責任があるのかを割合で示したものになります。

    停止中の車に追突したような事故であれば、追突された車の運転手には、基本的には過失はありませんので、被害者:加害者=0:100の過失割合となります。

    しかし、交差点での出合い頭の事故のように双方の不注意によって生じた事故であれば、被害者側にも一定の責任がありますので、過失割合が生じることになります。

    過失割合は、単にどちらが悪いのかを判断するためのものではなく、交通事故の賠償額を決める際に利用されます。

    たとえば、交通事故の被害額が100万円で被害者側の過失割合が0であれば、被害者は、賠償金として100万円の支払いを受けることができます。これに対して、被害者側の過失割合が20であれば、過失相殺によって賠償金として80万円の支払いしか受けることができません。

    このように過失割合の程度によって、被害者が受け取ることができる賠償額が大きく変わってきますので、交通事故の示談においては、どのような過失割合にするかが重要となってきます。

  2. (2)過失割合の修正要素とは

    交通事故の基本的な過失割合は、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(別冊判例タイムズNo.38)」という書籍を利用して決めるのが一般的です。この本は、過去の交通事故の裁判例をもとに事故態様別に過失割合を類型化したものですので、事故態様や法令上の優先関係などを基準に、基本の過失割合を決めていきます。

    しかし、交通事故の状況は千差万別ですので、個別具体的な状況に応じて基本の過失割合を修正していかなければ、正しい過失割合を導くことはできません。そこで、以下のような事情がある場合には、基本過失割合を加算・減算するなどして修正していくことになります。

    ① 幹線道路
    歩車道の区別があり、車道幅員がおおむね14メートル以上(片側2車線以上)で、車両が高速で走行し、通行量の多い道路については、道路外から幹線道路に進入する車の運転手により強い注意が求められますので、事故が起きた場合には路外車に加算修正されることになります。

    ② 見とおしがきく交差点
    交差点での出合い頭事故の過失割合は、基本的には、見とおしがきかない交差点を前提にしています。見とおしがきく交差点については、右方車に不利に修正する修正要素となります。

    ③ 大型車
    大型車であることが原因で事故の発生率が高くなる場合、大型車はより強い注意が求められることになりますので、大型車に5%程度の加算修正がなされることになります。

    ④ 右折禁止違反
    道路標識などによって右折禁止とされている交差点において、右折をしたことで事故が発生した場合には、右折車に不利に修正する修正要素となります。

    ⑤ 徐行なし
    直進車は、交差点において右折車に優先しますので、右折車が交差点に進入する際には、直進車の進行を妨害しないように徐行することが必要となります。右折車の徐行義務違反によって事故が生じた場合には、右折車に不利に修正する修正要素となります。

    ⑥ 減速
    減速していることを想定して基本の過失割合が定められている事故態様においては、減速していないことが不利に修正する修正要素となります。

    ⑦ 一時停止後進入
    一時停止後進入とは、一時停止規制によって一時停止をしたものの、左右を進行する相手車両の速度と距離の判断を誤って、交差点に低速度で進入したところ、減速しなかった相手車両と衝突したという事故態様です。

    一時停止の規制がある交差点での基本の過失割合は、一時停止規制側に一時停止義務違反があることを前提としていますので、一時停止後進入がある場合には、一時停止規制側に有利に修正する修正要素となります。

    ⑧ 明らかな先入
    B車が交差点に進入した際に、A車が通常の速度を基準として直ちに制動または方向転換の措置をとれば容易に衝突を回避することができた場合には、A車に不利に修正する修正要素となります。

    ⑨ 早回り右折
    交差点の中心の直近の内側を進行しない早回り右折によって事故が生じた場合には、右折車に不利に修正する修正要素となります。

    ⑩ 大回り右折
    あらかじめ道路の中央によらずに右折する大回り右折によって事故が生じた場合には、右折車に不利に修正する修正要素となります。

    ⑪ 直近右折
    直進車の至近距離で右折する際に事故が生じた場合には、右折車に不利に修正する修正要素となります。

    ⑫ 既右折
    直進車が交差点に進入する際に、右折車がすでに右折を完了またはそれに近い状態である場合には、直進車側に事故回避措置が求められますので、右折車に有利に修正する修正要素となります。

    ⑬ 道路交通法50条違反の交差点進入
    交差点が渋滞している状況においては、交差点内に停止するおそれがあるばあいには、交差点への進入が禁止されます。これに反して事故が生じた場合には、直進車に不利に修正する修正要素となります。

    ⑭ 合図なし
    右左折や進路変更をする場合には、ウインカーなどによって合図をすることが義務付けられています。合図なく右左折、進路変更をしたことによって事故が生じた場合には、義務違反車に不利に修正する修正要素となります。

    ⑮ 夜間
    夜間は、車の前照灯によって交差道路からの車両の存在を容易に認識することができます。そのため、同幅員の交差点における事故類型については、見とおしがきく交差点であることを前提として、右折車に不利に修正する修正要素となります。

    ⑯ 著しい過失、重過失
    著しい過失とは、基本的な過失割合として考えられる過失の程度を超える過失をいいます。

    たとえば、

    • わき見運転などの著しい不注視
    • おおむね時速15キロメートル以上30キロメートル未満の速度違反
    • 酒気帯び運転

    などが挙げられます。

    重過失とは、故意に比肩する重大な過失のことをいい、酒酔い運転、居眠り運転、無免許運転、おおむね時速30㎞以上の速度違反などが挙げられます。
    これらの過失があった場合には、違反者に不利に修正する修正要素となります。

2、過失割合は誰が決めるのか?

交通事故の過失割合を決めるのは、交通事故の当事者です。一般的には、加害者と被害者は、自動車保険に加入していますので、双方の保険会社の担当者による話し合いによって過失割合が決められます。

過失割合を決める際には、交通事故の態様などをもとに基本の過失割合を定めて、具体的な事故状況に応じて修正していくという方法で行われます。

なお、交通事故が発生し、人身事故として届け出をした場合には、警察による実況見分が行われ、交通事故の発生状況や事故態様などが実況見分調書にまとめられることになります。

そのため、警察が過失割合を判断してくれると考えている方もいますが、警察が過失割合を判断してくれることはありません。交通事故の過失割合は、最終的な賠償額を算定するために必要となるものですので、民事事件に警察が関与することはできないからです。

3、過失割合に納得できないときはどうする?

保険会社から提示された過失割合に納得ができない場合には、以下のような対応を検討しましょう。

  1. (1)過失割合の根拠を明らかにしてもらう

    過失割合を決める際には、基本の過失割合を定めて、個別具体的な状況に応じて修正していくという方法がとられています。

    保険会社から提示された過失割合に納得がいかないという場合には、お互いが前提にしている事故態様が異なっている場合や修正要素を考慮してもらっていないという場合もあります。そこで、保険会社に対して、過失割合の根拠となっている事故類型や修正要素を明らかにしてもらうとよいでしょう。

  2. (2)客観的な証拠を集める

    保険会社から明らかにしてもらった過失割合の根拠が、自身が想定している事故態様や修正要素と異なっているという場合には、自己の主張を裏付けることができる客観的な証拠を収集することが大切です

    相手の保険会社は、加害者の言い分のみをもとに過失割合を判断している可能性もありますので、自己の主張が正しいことを裏付けることができる以下のような証拠が必要となります。

    • ドライブレコーダー
    • 事故現場付近の監視カメラ映像
    • 交通事故の目撃者の証言
    • 事故車両の損傷状況のわかる写真
    • 実況見分調書、供述調書

4、過失割合の修正は弁護士に相談を

過失割合でもめている場合には、弁護士に相談をすることをおすすめします。

  1. (1)適切な過失割合を判断してもらえる

    加害者の保険会社は、被害者に対して賠償金を支払う立場にありますので、加害者の保険会社から提示された過失割合が常に適切な過失割合であるとは限りません。

    被害者にとって不利な過失割合であったとしても、示談に応じてしまった後は、過失割合を変更することはできなくなってしまいます

    保険会社から提示された過失割合に納得ができないという場合には、提示された過失割合が適切なものであるかどうかを判断いたしますので、まずは弁護士にご相談ください。

  2. (2)納得いく過失割合に近づけるように交渉をしてもらえる

    保険会社から提示された過失割合が適切なものでない場合には、弁護士が代理人として保険会社と交渉をすることによって、納得いく過失割合に近づけられる可能性があります。

    過失割合は、過去の裁判例の蓄積により類型化されたものですので、適切な過失割合を定めるためには、交通事故の裁判例に関する知識が不可欠となります。また、過失割合の修正要素は、個別具体的な事故状況に応じてさまざまですので、過去の裁判例を踏まえて主張していくことが必要です

    このような過失割合の交渉は、知識や経験のない被害者の方だけでは困難ですので、交通事故トラブルの解決実績のある弁護士にお任せください。

5、まとめ

過失割合は、交通事故の状況に応じた修正要素によって、その割合が変動することがあります。過失割合を減らすことができれば、最終的に受け取ることができる賠償額を増額することもできますので、適切な過失割合を定めることが重要となります。

交通事故の過失割合が提示されたが納得できないという方は、ベリーベスト法律事務所 堺オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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