離婚調停にかかる期間・回数│期間中の恋愛のリスクについても解説

2022年04月20日
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離婚調停にかかる期間・回数│期間中の恋愛のリスクについても解説

大阪府が公表している、令和2年人口動態調査結果によると、堺市では同年中に1310件の離婚が成立しています。これは、大阪府で離婚件数第1位の大阪市(5219件)に次ぐ数になります。

離婚する方法は、協議離婚・調停離婚・裁判離婚の3種類ありますが、夫婦の話し合いで協議離婚するのが難しい場合、多くは離婚調停を申し立てることになります。

離婚調停は申立てから終了まで、半年から1年ほどかかることが多いのですが、なかなか離婚条件について折り合いがつかず揉める中、配偶者以外の人と新たに恋愛関係を持つこともあるかもしれません。

しかし、離婚調停を進めているさなかに恋愛をすると不貞行為には該当しないか気になるところです。本コラムでは、離婚調停にかかる期間や長期化してしまうケース、調停期間中における恋愛の法的リスクについて、ベリーベスト法律事務所 堺オフィスの弁護士が解説します。

(参考:令和2年 人口動態調査の結果「2. 離婚件数、届出月・市町村別」(大阪府))

1、離婚調停の期間・回数・長期化するケース

  1. (1)離婚調停にかかる期間

    令和2年度の司法統計によると、離婚調停にかかる調停・審判期間は以下の通りでした。

    調停・審判期間 件数 割合(総数5万8969件)
    1か月以内 3075件 5.2%
    3か月以内 1万1687件 19.8%
    6か月以内 1万7793件 30.1%
    1年以内 1万9118件 32.4%
    2年以内 6845件 11.6%
    2年を超える 451件 0.7%

    (参照:第16表 婚姻関係事件数―終局区分別審理期間及び実施期日回数別―全家庭裁判所(裁判所))

    「審判」とは、調停が成立しなかった場合に、双方の主張などを基に家庭裁判所が判断をくだす手続きで、期間は2週間になります。

    表を見ると、約9割は1年以内に終了していますが、まれに2年以上もの長期間に及ぶことがわかります。

    また、上記の数字の中には、離婚調停が不成立に終わったものも含まれています。長引いた末に両者が合意に至らず、離婚裁判に発展するケースも珍しくありません

  2. (2)離婚調停の回数

    離婚調停は、調停の度に家庭裁判所に出向かなければなりません。行われるのは平日のみで1回につきおおよそ2時間ほどになります。

    会社の勤務や家事労働がある場合、離婚調停に何度行けばいいのか、回数が気になるところです。司法統計が公表している令和2年度の婚姻関係事件における調停の実施回数を見ていきましょう。

    調停・審判回数 件数 割合(総数5万8969件)
    0回 5358件 9.0%
    1回 8357件 14.1%
    2回 1万2429件 21.0%
    3回 1万181件 17.2%
    4回 7524件 12.7%
    5回 5119件 8.6%
    6~10回 8833件 14.9%
    11回以上 1168件 1.9%

    (参照:第16表 婚姻関係事件数―終局区分別審理期間及び実施期日回数別―全家庭裁判所(裁判所))

    最も多いのが2回、次いで3回となっており、4回以内に終了するケースが全体の7割以上になっています。

  3. (3)離婚調停が長期化するケース

    離婚調停のほとんどは1年以内に終了していますが、まれに2年以上かかることもあります。

    長期化する原因としては、以下のような状況が考えられます。

    • 財産分与や養育費など金銭面で争いがある
    • 愛憎のもつれが強い
    • 離婚するかどうかについて一方が迷っている
    など


    離婚調停はあくまでも双方の話し合いによる合意を目指すものですから、裁判と違って裁判官が強制的に決定することはできません。中には感情的な理由で拒否し続けるというケースもあるでしょう。

    しかし感情的な意見のぶつけ合いをしても時間と労力を消耗するだけであり、互いに不毛なことです。はじめから弁護士を同席させるなどして、できる限り冷静に進めていくことが肝心です

  4. (4)離婚調停の流れ

    最後に、離婚調停の基本的な流れを押さえておきましょう。

    • ① 管轄の家庭裁判所に離婚調停の申し立てをする
      ↓1~2週間後
    • ② 裁判所から夫婦に初回調停期日の通知状が届く
      ↓1~2か月後
    • ③ 初回調停
      ↓約1か月後
    • ④ 以降、2~4回程度の調停が行われる
    • ⑤ 調停の終了(成立または不成立)


    なお、調停期日においては、夫婦は別々の待合室で待機し、直接顔を合わせることはありません。交互に調停委員と面談を行い、自分の心情や主張を伝えます。

    夫婦の離婚条件が合意に至ると、調停成立となり、合意内容を調停調書にまとめます。調停調書には確定判決と同じ執行力がありますので、調停調書に記載されている支払い義務を夫婦の一方が怠った場合には、その所有財産に強制執行をすることもできます。

    調停不成立となった場合には、離婚裁判または審判への移行、再度の協議離婚の選択肢があります。

2、離婚調停中に恋愛すると影響があるか?

不貞行為とは、夫婦が婚姻中に配偶者以外の人と肉体関係を持ち、それにより“婚姻生活の平和”が侵害されることをいいます。

したがって、守るべき“婚姻生活の平和”がすでにない、つまり夫婦関係が破たんしているといえる場合には、不貞行為による損害賠償請求は認められないと考えられます

もし配偶者以外との肉体関係を伴う恋愛関係が離婚調停申立て以降に始まったことを客観的に証明できるのであれば、不貞行為による慰謝料請求が認められない可能性はあるでしょう。

しかし「実は恋愛関係が離婚の話し合いの前から始まっていたのではないか」と配偶者に誤解を与え、それが真の離婚原因であると疑われる可能性もゼロではありませんその場合は離婚調停がさらに揉めて長期化するおそれもあるため注意が必要です

3、離婚調停中に恋愛する2つのリスク

  1. (1)離婚調停前からの不貞行為を疑われる

    離婚調停中に始まった肉体関係を伴う恋愛は、不貞行為による慰謝料請求が認められない可能性があります。

    離婚調停中の夫婦はすでに“夫婦関係が破たんしている”ため、不貞行為によって侵害される“婚姻生活の平和”がないと判断されやすくなる傾向にあるからです。

    しかし離婚調停申立て後から始まった肉体関係を伴う恋愛であると客観的に証明できなければ、それが長年続いている不貞行為であると疑われるリスクがあります。

    たとえばその恋愛相手が古くからの知人・友人や同僚である場合、いつ恋愛関係に発展したのかを証明するのが難しくなるかもしれません。

    不貞行為の責任を免れるために別の離婚理由を持ち出したと勘違いされると、配偶者としては自分にとって少しでも有利な離婚条件になるよう、不貞行為の証拠探しを始めるかもしれません。

  2. (2)裁判官や調停委員の印象が悪くなる

    前述の通り、離婚調停中に始まった肉体関係を伴う恋愛は、不貞行為に該当しないと判断される可能性があります。

    また、不貞行為とは配偶者以外の人と肉体関係を持つことを指すため、デートにとどまるものであれば、そもそも不貞行為とみなされない可能性が高いです。

    しかし肉体関係を伴わないデートやスキンシップであっても、それが明らかになれば、裁判官や調停委員が抱く印象が悪くなるリスクもあります

    調停委員は、さまざまな人生経験を積んできた年配者が多くを占めています。たとえ法的責任は追及されなくとも不真面目であるという印象を与えてしまい、離婚の交渉において不利になる可能性もあります。

4、弁護士に離婚調停を依頼するメリット

  1. (1)裁判所の手続きを一任できる

    弁護士に依頼すれば、家庭裁判所への申立てから調停での交渉、手続き等をすべて一任できます。

    市区町村役所や裁判所などは平日昼間しか開いていないので、日中勤務している方にとっても各種書類の手配や申請は大きな負担です。また、慣れない書類収集や手続きに手間取る可能性もあります。弁護士に任せれば、迅速かつ適正に手続きを進めることができます。

  2. (2)離婚調停での振る舞いや言動についてアドバイスがもらえる

    離婚トラブルの実務経験が豊富な弁護士であれば、何度も離婚調停の現場に立ち会っているため、調停での有効な振る舞いについて熟知していますまた、実際に離婚調停に同席し、法的根拠に基づいた有利な主張をサポートしてもらうことも期待できます

    また、さまざまな角度から離婚について相談できる弁護士が味方になることで、精神的なストレスも軽減されるでしょう。

  3. (3)離婚裁判へ移行した場合も代理人として対応してもらえる

    離婚調停が不成立となり離婚裁判へ移行した場合にも、同じ弁護士に代理人として裁判手続きを依頼できることもメリットです。調停を重ねても合意に至らないケースは少なくありません。調停の段階から弁護士に依頼していれば、スムーズに裁判へと移行できるでしょう。

5、まとめ

離婚調停期間中に始まった肉体関係を伴う恋愛であれば、不貞行為の責任を追及されない可能性はあるしょう。しかし、いつ恋愛関係になったか確たる証拠がない状況では、離婚調停前からの不貞行為を疑われるリスクがあります。場合によっては調停委員から悪い印象を持たれてしまう可能性もゼロではありません。

離婚調停について不安がある場合は、離婚問題の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所 堺オフィスまでご相談ください。まずは状況を丁寧にお伺いし、離婚トラブルを解決できるよう力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています