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騒音トラブルで損害賠償請求は可能? 対処法を弁護士が解説します

2019年11月13日
  • 一般民事
  • 騒音
  • 弁護士
騒音トラブルで損害賠償請求は可能? 対処法を弁護士が解説します

賃貸物件の住民同士のトラブルは、共有部分の使い方、ゴミ問題などさまざまな種類がありますが、意外とよくあるトラブルに騒音の問題があります。堺市のホームページでも生活騒音についての情報が掲載されているほど、相談が多いトラブルのひとつなのでしょう。

騒音が悪質な場合、音が原因で睡眠不足になり、精神疾患をわずらうなど身体に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。実際に騒音問題が発生した際には、どのように対処をすればよいのでしょうか。ご近所との関係を悪化させるわけにもいかず、悩ましいところです。

そこで本コラムでは、賃貸物件における騒音トラブルについて、具体的にどのような方法で解決すべきなのかについて、堺オフィスの弁護士が解説します。騒音トラブルにお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

1、賃貸物件でよくある騒音トラブル

賃貸物件において特に「騒音」は、よくある問題といえるでしょう。また構造の問題から、分譲よりも賃貸マンションのほうが、音が響きやすい傾向にあります。ここでは、どのような騒音トラブルがあるのかを紹介します。

  1. (1)子どもの足音

    よくある騒音問題として、「子どもの足音」が挙げられます。子どもはドタバタと歩いたり、室内を走り回ったりするため、下の階の住民に騒音となって響く場合があります。
    ファミリー向けの賃貸物件でよく発生します。

  2. (2)ペットの鳴き声

    他の物件との差別化を図るために、物件をペット可にする大家さんが多くいらっしゃいます。そのため、ペット可物件ではペットの鳴き声の問題が発生します。特に鳴き声が響く犬や鳥などのペットは、騒音トラブルになりやすいです。

    ペットの鳴き声は、ファミリー向け、単身者向けを問わず、さまざまな物件で生じる可能性があります。

  3. (3)楽器

    賃貸物件では楽器演奏を禁止としているところも多いのですが、それでも無断で持ち込み、演奏する方がいます。楽器の持ち込みをOKにしている物件でも、常識の範囲を超えて夜間や早朝に演奏するとトラブルの種になってしまうことにも注意が必要です。

  4. (4)話し声や騒ぎ声

    話し声や騒ぎ声による騒音も、よくあるトラブルです。夜間などに友人同士で集まって宴会をするときの声や、窓を開けたまま大騒ぎする声などは隣接している部屋にも響くため、騒音トラブルとなりがちです。単身世帯や学生が住んでいるマンションなどでよく見られます。

2、騒音トラブルの解決までの流れ

それでは、実際に騒音トラブルの被害にあったとき、どのように対処すればよいのでしょうか。騒音の解消には、騒音を出している部屋の住民からの理解と協力も必要です。騒音トラブルを解決に導くまでの流れを解説します。

  1. (1)直接注意はトラブルのもと

    騒音トラブルの解決で注意したいのが、騒音を出している住民に直接文句を伝えることです。直接話をすることで、被害状況をはっきりと伝えられるため高い効果を得られる可能性はあります。しかし、住民から反感をかい、逆恨みされるようなことがあれば、違う問題へと発展しかねません。直接注意をしにいくのは控えたほうが賢明です。

  2. (2)管理会社へ連絡を

    たえがたい騒音を感じたら、まずは物件を管理している管理会社に相談しましょう。相談者名を伏せる形で、管理会社から張り紙で警告してもらえたり、注意をしてもらえたりする場合があります。

    このように、管理会社を通じて警告することで、逆恨みをかうことなく穏便に騒音を解消できる可能性があります。

  3. (3)自主管理の場合は大家に連絡

    賃貸物件によっては管理会社が存在しないケースもあります。物件の仲介は不動産会社などが行うが、入居中の窓口は大家本人が行う場合などです。このような自主管理の物件は、契約時に伝えられている大家の連絡先に連絡して、事情を説明し対応をお願いしましょう。

3、騒音トラブルによる損害賠償請求は可能?

騒音トラブルは、軽度なものから重度なものまでさまざまです。もし、度重なる騒音によって体調を崩すなどの被害を受けた場合、騒音を出している方に損害賠償請求を検討したいと思うかもしれません。本項では、騒音問題における損害賠償請求について解説します。

  1. (1)受忍限度と騒音

    騒音問題では「受忍限度」という言葉がよく使用されます。騒音問題における受忍限度とは、一般的に我慢すべき騒音の程度をいいます。

    音の感じ方はそれぞれですし、人間が生活をするうえで、全く音を出さずにいることは不可能です。そのため、共同生活において、社会通念上、我慢するべき騒音の限度を超えているかどうかを、損害賠償請求の指標にしているのです。

    受忍限度については、騒音の種類や発生した状況、頻度や対処法、地域環境、法律や条例が定める一定の基準など、さまざまな要素をもとに判断されます。

  2. (2)損害賠償請求は可能

    騒音による損害賠償請求は、実際に自分が騒音によって被った損害を証明して、その不法行為を理由に相手側に請求することで可能となります。

    しかし、騒音で苦痛を感じたからといって、必ず損害賠償が認められるわけではありません。騒音のレベルや、音の発生理由、その後の交渉の様子や公共性などを加味して判断されることになります。

4、実際に損害賠償が認められた裁判例

実際のところ、騒音による損害賠償が認められたケースは存在するのでしょうか。また、どのような事例であれば認められるのか、さらに、認められた場合の賠償金の相場も気になるポイントです。ここでは、実際の裁判例をもとに解説していきます。

  1. (1)子どもの足音

    子どもの足音を原因とする騒音問題の訴訟に、平成19年10月に判決が下された事件があります。3LDKのファミリー向けマンションのため、子どもが住むことは予測できたであろう状況でしたが、50~65デシベルの大きい音で、毎日、深夜や早朝問わず騒音を出していたので、一部請求が認められ、約30万円の損害賠償が命じられました。(東京地裁/平成19年10月3日判決)

  2. (2)ペットの鳴き声

    隣室住民が飼う犬の鳴き声によって平穏な生活が侵害されたとして慰謝料を請求し、平成21年11月に判決が下された事件があります。本件では、マンションの規約において、ほかの住民に迷惑または危害を及ぼすおそれのある動物の飼育を禁止されていたことや、鳴き声の程度などから精神的苦痛が認められ、約5万円の慰謝料の支払いが命じられました。(東京地裁/平成21年11月12日判決)

5、騒音トラブルで弁護士ができること

実際に騒音問題の被害にあって、管理会社等に相談しても事態が解決しない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談することで、問題の早期解決が期待できるとともに、万が一裁判に発展した場合でも代理人として頼ることができます。ここでは騒音トラブルで弁護士ができることを解説します。

  1. (1)相手側との交渉

    賃貸物件の騒音トラブルで弁護士に依頼するメリットは、相手側との交渉を引き受けてもらえることです。騒音問題は相手が聞く耳をもたないことが多く、管理会社や大家さんが注意をしても改善しない場合があります。そのような場合でも、法律の専門家である弁護士が間に入れば、交渉に応じてもらえる可能性が高まります。

  2. (2)裁判の代理人

    騒音問題は健康被害なども生じる可能性もあるため、話し合いでトラブルが解決しない場合は、訴訟も視野に入れる必要があります。裁判に発展した場合は、弁護士が代理人となって訴訟の手続きや証拠の整理を行い、法律に基づき正当な主張をすることになります。民事訴訟の経験豊富な弁護士に相談することで、安心して裁判に臨むことができるでしょう。

6、まとめ

今回は、賃貸物件における騒音問題について解説しました。騒音の原因には、子どもの足音、楽器や演奏やペットの鳴き声など、さまざまなケースが考えられます。近隣住民との関係性が悪化するのも好ましくなく、我慢し続けてしまう方も少なくないでしょうが、体調を壊してしまっては元も子もありません。できる限り冷静に、しかし被害の状況を正確に伝えて、騒音の改善を促す必要があります。

もしも近隣住民の騒音問題でお悩みであれば、事態が悪化する前に弁護士に相談することをおすすめします。ベリーベスト法律事務所 堺オフィスでは、民事事件に関する知見が豊富な弁護士が、事態の改善に向けて全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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