離婚調停を欠席するとどうなる? 呼び出し無視で不利になるのか

2021年04月15日
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離婚調停を欠席するとどうなる? 呼び出し無視で不利になるのか

堺市がある大阪府は離婚率が平均より高く、令和2年版の総務省統計局「都道府県別出生・死亡数と婚姻・離婚件数」では、離婚件数が1万6282件で全国第2位となっています。

離婚の際に夫婦間の話し合いが成立しない場合は、次に離婚調停に進むことになります。配偶者から離婚調停を申し立てられても、仕事や育児、介護、あるいは心身の不調などが原因で期日に出席できそうにないこともあるでしょう。

離婚調停の呼び出しを無視した場合に考えられるトラブルと対処法について、堺オフィスの弁護士が解説します。

1、離婚調停の呼び出しについて

  1. (1)家庭裁判所で行う話し合いが離婚調停

    離婚をする際は、まず夫婦同士での話し合い(協議離婚)からスタートします。もし夫婦同士の話し合いが成立しない場合は、次に「離婚調停」を管轄の家庭裁判所に申し立てることになります。

    離婚調停とは、調停委員会(裁判官1名、調停委員の男女2名)に間に入ってもらって離婚条件についての話し合いを進める手続きのことです。調停委員が夫婦それぞれの言い分を交互に聞きながら話し合いをサポートしてくれるので、協議離婚より冷静かつ建設的な意見のすり合わせが期待できます。

    離婚調停をしても離婚条件について合意に至らない場合には、最終的に家庭裁判所での離婚裁判に移行することになります。

    なお離婚調停を飛ばして、いきなり離婚裁判を提起することはできません(調停前置主義)。夫婦間・親子間など家族間の問題は、単なる金銭的利害関係以上の深いわだかまりが含まれていることも少なくありません。そのため、なるべく当事者同士の話し合いで決着をつけるべきであるという考えに基づいています。

  2. (2)離婚調停を申し立てられた場合の流れ

    配偶者が離婚調停を申し立てると、離婚調停の第1回目の期日が記載された呼び出し状(調停期日通知書)が家庭裁判所から郵送されます。
    1回目の期日は、申し立てがされた日から、基本的に約1~2か月後になるでしょう。夏季休暇中・年末年始などは裁判所も休みです。

    調停期日に裁判所へ行くと、調停委員が夫婦の言い分を交互に聞いてくれます。裁判官は基本的に同席せず、調停委員からの報告を受けて状況を把握します。開始から月1回ぐらいのペースで調停期日が繰り返され、ケースにもよりますがだいたい半年で調停の成立(離婚条件について合意に至り調停調書を作成)または不成立(話し合いが決裂、裁判へ移行)が決まることになるでしょう。

    なお、配偶者からDV・モラハラなどの被害に遭っている場合には、夫婦が顔を合わせなくてもいいよう待合室を別々にするなどの対応もしてくれますので、もし心配な場合は、事前に家庭裁判所に相談しておきましょう。

2、離婚調停を無視するデメリット

  1. (1)いい加減な人だと悪印象を持たれてしまう

    離婚調停の呼び出し状を無視した場合に考えうるデメリットのひとつとしては、調停委員や裁判官に「信用がおけない」と思われてしまう可能性が挙げられます。

    離婚手続きにおいては、お互いが「自分は正しい、相手が間違っている」と強く主張していくことになります。そのため、何の連絡もなしに欠席すると、その行動から「申立人の主張の方が信用できる」と判断される可能性が高くなるでしょう。

    離婚調停から離婚裁判に移行した場合も、離婚調停での態度が判断材料にされることがありますから、社会的なマナーは大切にしておくことをおすすめします。

  2. (2)5万円以下の過料を科されるおそれがある

    正当な理由なく欠席を繰り返すと、5万円以下の過料が科されることもあります。ただし、事情も聞かずにいきなり罰金が科されるわけではなく、まずは電話や書面などで事情を聞いてから最終的に決定されることになっています。

    また、過料が科されることで裁判官・調停委員から悪印象を持たれて、調停や裁判で不利になる可能性が高まるダメージが大きいでしょう。

3、欠席したい場合にすべきこと

欠席する場合は事前に家庭裁判所に電話で欠席する旨を伝えておきます。その際は、調停番号と氏名を告げましょう。

なお、「面倒だから」「憂うつだから」などの理由で通知を無視するのは、よくありません。無視をしつづけても相手が離婚を強く望んでいる場合は最終的に離婚裁判に移行することになります。

4、無視してしまった場合の対処法

多忙なスケジュールや体調不良などで裁判所からの呼び出しを無視してしまい、後から重要性に気づいた、という方もいらっしゃるかもしれません。1回の欠席だけでは不利になる可能性は低いため、欠席してしまった経緯を丁寧に説明して謝罪した上で、次回から必ず参加するようにしましょう。

ただし欠席を何度も繰り返して無視しつづけると、調停不成立となり、離婚裁判に移行する可能性が高いでしょう。当事者の合意を目指す離婚調停とは異なり、離婚裁判は裁判官が強制的に離婚条件を決める手続きです。裁判における裁判官の判断に従わないと強制執行となるおそれがあります。

また、裁判官は当事者の主張や提出された証拠などをもとに判決を行いますが、離婚調停での当事者の態度なども考慮される可能性があります。正当な理由なく何度も離婚調停を欠席して不成立に終わらせたという事実は、裁判官の心証にかかわりますから注意が必要です。

5、離婚調停を弁護士に依頼するメリット

  1. (1)弁護士が同席し主張をサポートする

    離婚調停はご自身のみで進めることができる手続きですが、つらい状況の中で調停委員に対して理解してもらうよう主張するのが難しいこともあるでしょう。

    弁護士が同席することで、何を重点的に話せば有利になるのか事前にアドバイスを受けることができ、調停が自分の主張に沿って進む可能性が高まります。

  2. (2)書類や手続きなどの代行する

    離婚調停や裁判手続きを進めるにあたっては、裁判所や市区町村役場で必要な書類をそろえたり提出したりする必要があります。裁判所や市区町村役場は平日昼間にしか開いていませんので、勤務時間によっては難しい方もいるでしょう。

    また、慣れない手続きを期限までに正確に完了する労力は大きく精神的にも非常に消耗します。離婚調停の経験が豊富で法律知識も有している弁護士に一任することで、離婚に至るまでの時間も大幅に短縮できるかもしれません。

6、まとめ

調停に呼び出されても都合が合わず出席できない場合、最低限のマナーとして事前に欠席する旨を必ず連絡しておきましょう。無断欠席を繰り返すと、調停委員や裁判官がマイナスのイメージを持ってしまうおそれがあります。

また、モラハラ・DVなどの被害に遭っており離婚調停に出席するのが怖い、体調不良ですぐに出席できそうにない場合には、正直にその旨を家庭裁判所に伝えましょう。家庭裁判所でもしかるべき対応をしてくれます。

離婚や調停でお困りの方は、堺オフィスの弁護士までお気軽にお問い合わせください。あなたの悩みに親身に寄り添い、納得の解決へ向けて尽力いたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています