W(ダブル)不倫で慰謝料請求! 減額交渉や解決のためにできることは

2020年08月14日
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W(ダブル)不倫で慰謝料請求! 減額交渉や解決のためにできることは

大阪府は全国的にも離婚率が高く、総務省統計局の「都道府県別出生・死亡数と婚姻・離婚件数(平成28年)」でも全国4位であることが判明しています。

では、堺オフィスがある堺市はどうでしょうか。大阪府の「平成30年 人口動態調査の結果」によると、同年の堺市の総離婚件数は1514件と発表されており、堺市だけでも毎年多くの夫婦が別々の道を選んでいるようです。

離婚の原因はさまざまですが、特に多いのが不倫です。平成29年の司法統計によると、男性の離婚原因4位、女性の離婚原因5位は「異性関係」となっています。結果の男女差からみても、既婚男性が女性と不倫関係になるのが典型的なパターンのようですが、中には既婚者同士で不倫をするW(ダブル)不倫もあるようです。

では、実際にW不倫のトラブルに巻き込まれてしまったら、どのように対処すればよいでしょうか? 不倫をしていた既婚女性が不倫相手の妻から慰謝料を請求されたケースを例として、堺オフィスの弁護士が、W不倫について解説します。

1、W不倫とは?

  1. (1)W不倫は被害者がふたり

    W不倫とは、お互いに配偶者のいる既婚者同士が不倫することをいいます。

    既婚女性が既婚男性と不倫をしている場合、慰謝料請求権を持つ被害者が自身の夫と不倫相手の妻のふたりとなります。

    もし互いの配偶者に不倫がばれてしまったら、2組の夫婦間で慰謝料を請求しあうことになるでしょう慰謝料請求は、2組の夫婦が離婚を選択するのかどうかでも事情がかなり変わってくるので注意が必要です

  2. (2)W不倫の慰謝料を互いに請求した場合

    W不倫においては、不倫された被害者ふたりがお互いの配偶者に慰謝料を請求するケースがあります。

    もし2組とも離婚せず、互いの夫婦同士で請求しあうことになった場合、結果的に2つの慰謝料請求がされ、金銭的には相殺される可能性もあるでしょう。

    ただし、慰謝料の金額は夫婦のさまざまな事情によって増減します。
    そのため、不倫相手の妻が夫婦関係の継続を望んでおり、請求できる慰謝料金額が相手の配偶者よりも少ない場合は、相手の妻が慰謝料請求を行うメリットは少ないといえるでしょう。

2、慰謝料の相場

W不倫の慰謝料の相場は、ケース・バイ・ケースですが、不倫の慰謝料の増加には、以下の要素が影響を及ぼすとされています。

  • 不倫が原因で離婚する
  • 相手主導で不倫が始まったことが明らかである
  • 相手の方が社会的地位・年齢が高い
  • 被害者に未成熟子がいる
  • 被害者の子どもの人数が多い
  • 不倫期間が長い
  • 不倫の方法が悪質(子どもの誕生日・行事を無視して不倫など)
  • 被害者の婚姻年数が長い
  • 不倫発覚前は夫婦関係が良好で家庭円満だった


もし、相手夫妻に子どもがいない、相手夫婦が新婚である、そもそも夫婦が不仲だった……などの証拠や事実があれば、慰謝料減額を交渉する余地があるかもしれません慰謝料を請求された際は、減額できそうな要素がないかしっかりと調べることが肝心です

3、慰謝料請求の流れ

  1. (1)話し合いにより解決を図る

    不倫相手の妻が、あなた宛てにメッセージや電話で連絡を取ってくるかもしれません。その際は、無視することなく誠実に話し合いに応じ、トラブルの解決を試みましょう。

    相手からの話し合いに応じないと、内容証明郵便を自宅に送られる可能性があります。内容証明郵便とは、郵便物の差し出・受取・内容に関する情報が郵便局に記録されるサービスです。「誰が誰にいつどんな文書を送ったのか」を証明できるため、法的紛争の証拠として利用されます。

    内容証明郵便に書かれている内容を無視しただけで罰金などのペナルティーはありませんが、後々裁判に発展した際には、不利になるおそれもあります。また、内容証明郵便が自宅に届いたことにより、自身の配偶者にW不倫がばれてしまうケースもあります。

  2. (2)相手が証拠をそろえているか確認する

    不倫相手の妻が、不倫の証拠をそろえているのか確認しましょう。確たる証拠がないまま「なんとなく怪しい」という程度の理由であなたに連絡をしてきた場合は、簡単に不倫の事実を認めないことも大切です。

    また「○○円の慰謝料を絶対に支払ってください!」といわれても、すぐに誓約書に署名捺印してはいけません。録音されている可能性がありますから、その場では重大な約束事はしないようにしましょう。

    慰謝料の金額が相場を大幅に上回っている場合には、減額の交渉ができる余地があるからです減額交渉の可能性があるのか知りたい、話し合いが難しい、証拠があるのか怪しい……などと悩んだら、すぐに弁護士に相談されることをおすすめします

  3. (3)話し合いで決着がつかない場合

    話し合いで決着がつかない場合は、民事訴訟を起こされる可能性もあります。民事訴訟は、原告側にとっても被告側にとっても負担が非常に大きく、お金と労力のかかる手続きです。
    もし訴訟に発展してしまう可能性がでたら、なるべく早い段階で弁護士に交渉の代理を任せましょう。結果的に時間とコストの削減につながる可能性が高まります。

  4. (4)配偶者からも慰謝料請求されるケースとは?

    もし自分の配偶者と離婚を選択した場合、自身の夫からも不倫の慰謝料を請求される可能性があります。また、離婚の話し合いの中で財産分与や親権などと併せて慰謝料の金額・支払い方法についても決めることになります。

    夫婦同士の話し合いで合意に至らない場合は、家庭裁判所での離婚調停を経て、最終的には離婚裁判に移行することになるでしょう。もしあなたの夫にも、モラハラ・DVなど何らかの落ち度があれば、不倫の慰謝料と相殺できる可能性もありますその際は、物的証拠を収集しておくことが非常に重要になります同居している相手の証拠集めは慎重に行わなければ証拠隠滅されてしまう危険があるため、弁護士や調査会社への相談も検討しましょう

4、W不倫の解決は弁護士に相談を

  1. (1)冷静な話し合いが期待できる

    前述の通り、当事者同士の話し合いで解決するのも選択肢のひとつです。しかし、実際には加害者と被害者が顔を突き合わせることにより、さらなるトラブルに発展するケースも少なくありません。

    冷静で建設的な話し合いをするためにも、最初の段階から弁護士を代理人として立てることをおすすめします。加害者側も被害者側も、弁護士に介入してもらうことでかなり精神的な負担を軽減できるでしょう。

  2. (2)慰謝料の減額交渉を有利に進められる可能性

    不倫による慰謝料請求において経験豊富な弁護士は、どのように話をすすめれば依頼者にとって有益であるか把握しています。

    弁護士であれば、「不倫前から別居して、夫婦関係が破綻していた」「強引に不倫関係を迫ってきたという証拠がある」など、状況に応じて的確な主張をしてくれるでしょう。不倫相手の妻から高額な慰謝料を請求されて困っている方は、支払いに応じる前に、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

5、まとめ

W不倫は、通常の不倫とは異なりふたりの被害者が存在しています。もし2組とも再構築を選択した場合、慰謝料金額の大部分を相殺することになる可能性があります。慰謝料請求の手続き自体にあまり意味がないといえるでしょう。

また、もしも片方の夫婦だけが離婚した場合には、離婚した方がより高額な慰謝料を請求してくる可能性があります。また、離婚以外にも、未成熟子の有無や婚姻期間、不倫当事者の社会的地位や年齢など、さまざまな要素が慰謝料金額に影響を及ぼします

W不倫は一般の不倫と比べて状況が複雑化しやすい傾向があります。W不倫の慰謝料請求や離婚についてお悩みがあれば、ベリーベスト法律事務所 堺オフィスの弁護士にご相談ください。個々の状況に応じて最適な方法をご提示し、問題解決に向けて尽力いたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています