夫が怪しいと感じたら! 不貞行為の定義と証拠の重要性を弁護士が解説

2020年02月21日
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夫が怪しいと感じたら! 不貞行為の定義と証拠の重要性を弁護士が解説

ある日夫の不貞行為が発覚してしまったら……、そのショックは計り知れません。婚姻関係を続けるべきか、離婚に踏み出すのか、そもそも何から考えればよいのか呆然とされる方も多いでしょう。

厚生労働省によると、平成30年の堺市の離婚件数は1514件、離婚率は1.82%。全国平均の離婚率1.66%(推計)を上回る結果となっています。離婚事由は人によって異なりますが、夫の不貞行為によって離婚を決意する女性は少なくないでしょう。

そこで今回は、夫の不貞行為について悩む方へ向け、堺オフィスの弁護士が詳しく解説します。そもそもどこから不貞行為と呼ぶのか、有利に離婚をするための証拠集めはどのようにしたらよいのか、具体的に説明していきます。

1、不貞行為の定義

  1. (1)そもそも不貞行為とは

    不貞行為(ふていこうい)にあたる多くは、夫婦・婚約・内縁関係にあるにもかかわらず、配偶者以外の異性と肉体関係を持つことです。

    民法第770条には以下の様に明記されています。

    第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
    • 配偶者に不貞な行為があったとき。
    • 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
    • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
    • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
    • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。


    民法に明記はありませんが、婚姻のもっとも本質的な義務として、配偶者以外と肉体関係を持たない状態を保つ「貞操義務」というものがあります。不貞行為は、この義務に反した不法行為であるため、法的に離婚および慰謝料の請求が認められます。

  2. (2)不貞行為にあたる場合

    自らの意思で行った場合はもちろん、配偶者以外の異性から誘われて肉体関係を持った場合でも不貞行為に該当します。

    また、貞操義務に忠実でない場合は、直ちに肉体関係が認められなくても不貞行為として離婚請求できるケースもあります。たとえば夫が妻以外とラブホテルに入り、一定時間出てこなかった場合はどうでしょう。「何もしていない、酔った状態を介抱していた」などと言い張られても、ラブホテルは一般的に肉体関係を持つ場所です。不貞行為があったと推定できるでしょう。

  3. (3)不貞行為にあたらない場合

    肉体関係がない場合、多くは不貞行為と認められません。
    メールやLINEのやり取り、デート、キスなども、不貞行為にあたるのでは? と思われる方が多いでしょう。しかし、肉体関係が伴う交際があった事実が証明できなければ不貞行為とは認められにくいのです。

    つまり、1~2回風俗に行くなども同様に認められないケースが多いでしょう。一般人が不貞の相手だとしても、一度限りの関係であった場合は同様です。有責配偶者による不貞行為が婚姻関係の破綻に導いたとまでは認められない可能性が高いと考えられます。

    離婚請求は、配偶者以外と複数回にわたり肉体関係を持ち、その不貞行為が原因となって、婚姻関係が破綻したという事実が必要です。また慰謝料請求をする際には、不貞行為の回数に加え、頻度や期間の証拠も重要になります。

    なお、離婚を前提とした別居後に行われた浮気は不貞行為とみなされず、慰謝料請求の対象にもなりません。そもそも婚姻関係が破綻している状況であれば、不貞行為そのものが婚姻関係を破綻に導いた理由ではないためです。

2、離婚成立まで長期間かかるケースも少なくない

「離婚」を希望した場合、夫や浮気相手への「慰謝料請求」、家や土地などの財産がある場合には「財産分与」、子どもがいる場合には「親権」など、多くの問題に直面します。

あなたの要望や請求が夫に受け入れられ、互いに合意すれば「協議離婚」として離婚が成立します。しかし夫側が不貞行為を認めない、離婚に応じないなど、互いに感情的になるあまり長期化するケースも少なくありません。その際には「調停離婚」や「裁判離婚」へと進みます。いずれのシーンにおいても証拠がなければ、その先へ進められなかったり、あなたの方が不利な状況に立たされてしまったりすることがあるでしょう。

長期にわたる離婚の争いは、精神的にも金銭的にも大きな負担となります。不貞行為を疑ったら、相手を問い詰める前に証拠をおさえ、早い段階で経験豊富な弁護士に相談することは、離婚成立はもちろんその後の生活を守るためにも非常に重要なポイントとなります。

また、裁判を有利に進めるためには、証拠を出すタイミングも重要です。夫側からすると、どんな証拠を持っているのか、どこまで知っているのか不安な状態といえますし、切り札を見せないことで思わぬ自白を得られることもあります。経験豊富な弁護士から適切なアドバイスを受けることで裁判を有利に進める可能性が高まるでしょう。

3、不貞行為を証明する証拠5つ

不貞行為を証明する証拠は、下記が該当します。証拠があれば、離婚請求はもちろん、夫側からの離婚請求や要求を拒否できることもあります。

●写真または動画データ
ラブホテルや不貞相手のひとり暮らしの部屋など、肉体関係を持ったと推認される場所への出入り写真は、有力な証拠となる可能性が高いでしょう。
出入りしている写真や動画は、その回数が多いほど証拠能力があります。一度のみでは証拠としては弱く、「つい」「たまたま」などと言い逃れできる余地を残してしまいます。

●音声データ
夫が自身の不貞行為を認める内容が録音されていれば、有益な証拠になります。夫に不貞行為を問いただす際にはボイスレコーダーを準備しましょう。ボイスレコーダーは、スマートフォンのアプリにもあります。

●調査会社の調査報告書
調査会社であれば、写真など有効な証拠が集めやすくなります。一定の費用はかかりますが、相手にわからないよう物的証拠を集めたり、尾行して証拠写真をおさえたりすることは、素人にはかなりハードルが高い行為ですので、検討する価値はあるでしょう。

●SNS(LINEなど)やメール
相手の不貞に気付くきっかけになりやすいのがSNSやメールではないでしょうか。スクリーンショットを撮ったりするなど、比較的手に入りやすいかもしれませんが、データは改ざんすることも容易なため証拠能力は弱くなります。

ただし、スマートフォンのロックを勝手に解除したりする行為は、プライバシーの侵害として夫側に起訴される可能性があります。本当に有効な証拠となりうるか、裁判の前に弁護士へ相談されるとよいでしょう。

●その他
浮気相手からの手紙やプレゼント、友人などの第三者の証言、クレジットカードの明細、宿泊したホテルの領収書などは、肉体関係を持った事実を証明することはできませんので、不貞行為の決定的な証拠とは言いづらいものです。それでも、これらを裁判に提出することで、配偶者が不貞行為を認めるきっかけとなる可能性がありますし、写真などと併せれば有効な証拠になる可能性が高くなります。日ごろからできるだけ収集しておくことをおすすめします。

4、不貞行為の証拠を集めるには?

  1. (1)不貞行為の証拠の集め方

    証拠を集める作業は、妻自身が行うか、探偵などに依頼して行うかの2択となるでしょう。

    もし夫や不貞相手に証拠を隠滅されてしまった場合、自ら証拠を集めることは困難となります。メールやLINEの証拠だけでは不貞行為があったと証明することはできません。浮気に気付いても、すぐに夫を責め立てるのではなく、証拠がそろうまでは冷静に振る舞うよう心がけることが大切です。

  2. (2)自分で証拠を集める際の注意点

    電話の盗聴や、不貞相手の自宅にカメラを仕込むなどの盗撮は、違法行為にあたります。証拠として認められないばかりか、逆に夫や浮気相手から訴えられる可能性があります。

    また、スマートフォンやパソコンのIDやパスワードを勝手に使用し情報にアクセスする行為は、不正アクセス禁止法違反となる恐れがあります。不安な場合は調査会社や弁護士に早めに相談しましょう。具体的なアドバイスはもちろん、第三者の冷静な意見が、悩みを解決に導いてくれるでしょう。

  3. (3)調査会社に依頼する際の注意点

    相談や見積もりは無料で行ってくれる調査会社も多いので、まずは具体的な金額について相談してみましょう。ただし証拠を集めるには時間、人員、機材などはもちろん、長期化することで費用がかさむケースも少なくありません。よく検討し、納得できる調査会社を探しましょう。調査会社に依頼をするのが不安な場合は、弁護士にも相談が可能です。

5、まとめ

繰り返しになりますが、不貞行為を立証するためには、証拠が大変重要です。夫の不貞を疑ったら、相談だけでも早い段階でしておくことで次に何をするべきかがクリアになるでしょう。

ひとりで悩みを抱え込まず、まずはベリーベスト法律事務所堺オフィスへご相談ください。離婚問題に多く対応した経験を持つ弁護士が、あなたにとってベストな将来を迎えられるよう、全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています