債権回収したい! 少額訴訟の方法や弁護士に依頼すべきケースとは

2018年04月23日
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債権回収したい! 少額訴訟の方法や弁護士に依頼すべきケースとは

「必ず返すから」と頭を何度も下げて借金を懇願していたくせに、いつになっても返してくれない。分割で返済する約束だったのに、最近は全然返済してもらっておらず、音信不通となってしまった。最近は誰でも簡単に自己破産できて、借金を返済しないで済むという話も聞いたことがあって不安だ…。このような心配を抱えておられる方のために、債権回収のための方法と弁護士に依頼すべきかなどを詳しく解説いたします。

1、回収する債権の時効を確認する

回収する債権の時効を確認する

「時効」という言葉をご存知でしょうか。ある一定の事実状態が継続すると、その状態に権利関係を合わせてしまうのです。たとえば、商品を売った代金を2年間支払ってもらえていないという状態が続いていたとしたら、商品の代金を回収できなくなってしまうということです。売掛金を回収できないという状態に権利関係を合わせてしまうということは、債権(払ってくれという権利)、債務(払わなければならないという義務)が消滅してしまうということなのです。
これから債権を回収しようと思っているのに、時効で回収できなくなってしまっては大変です。まずは時効が成立してしまう期間を確認しましょう。

1年 飲食店・宿泊施設のツケ、運送費、大工・職人などの賃金、レンタルビデオやレンタカーなどの料金
2年 売掛金、理容業・クリーニング代金、学校・塾の授業料、給料
3年 建築工事の請負代金、自動車修理費、病院の医療費
5年 家賃・地代、営業上の貸付
10年 民事債権(個人間の売買・借金)


商売としてではなく個人間での売買や借金ならば、時効が成立するまでに10年もの期間があるので、少しは安心できます。しかしのんびり構えていると、あっという間に時は流れてしまいます。場合によっては、1年や2年という時効期間が短いものもあるので、気を付けなければなりません。

時効が成立するには、「払ってもらえない」という事実状態が継続する必要があります。しかし、その間に「請求、承認、差押え・仮差押え・仮処分」などがあれば、時効は中断しますから安心してください。払ってくれと請求し続けていれば、時効が成立することはないのです。何もしないで相手が払ってくれるのをただじっと待っていると、「権利の上に眠る者は保護に値せず」や「権利の上にあぐらをかくものを救済しない」という法理論から時効が成立してしまうのです。

2、自分でできる債権回収の方法

自分でできる債権回収の方法

時効を成立させずに債権を回収できるよう、「権利の上に眠らない者」としてどんなことができるのでしょうか。自分自身ですぐに行える方法をご紹介します。

  1. (1)電話

    電話をかけて催促することで、債務者に心理的なプレッシャーを与えることができます。ただ、早朝や夜間・深夜などに電話をかけ続けていると、逆にそのことが法的トラブルとなり罪に問われる可能性もありますから、注意が必要です。

  2. (2)請求書送付

    この日までに返済して欲しいという請求書を送りましょう。もちろん手渡しでも構いません。面と向かって言いにくい場合には、この方法がお勧めです。しかし債務者にとっても、心理的なプレッシャーは強くないということを理解しておきましょう。

  3. (3)内容証明郵便の活用

    請求書を送る際に、郵便局で内容証明として送る方法があります。謄本を郵便局が保存し、請求書の内容や差出人・受取人・差出日を郵便局が証明してくれる制度です。内容証明郵便を使うと、いつどのような意思(請求)をしたかということを証明できることが大きなメリットです。
    ただし書き方に一定のルールがあるので、郵便局で相談・確認しながら書き上げる必要があります。

3、法的手段で債権を回収する方法

法的手段で債権を回収する方法
  1. (1)民事調停

    債務者の住所を管轄する簡易裁判所に、調停を申し立てる方法があります。法律知識がなくても大丈夫です。裁判所の費用・手数料も高くありません。たとえば100万円の返済を求める場合で5,000円です。500万円でも15,000円の費用・手数料で済むのです。非公開の場で、調停委員と裁判官、当事者が話し合うことで、裁判所が解決策をまとめます。その話し合いも、当事者同士が直接話し合うことはありませんので、お互いの感情がもつれているような場合でも、調停委員を介して話し合いができます。
    調停がうまくまとまれば、裁判の判決と同じ効力を持つことになるのが魅力です。しかし話し合いがまとまらない場合は、裁判所が「決定」を下すのですが、異議を申し立てることができ、その場合は訴訟へという流れになります。

  2. (2)支払督促

    調停と同じく、債務者の住所を管轄する簡易裁判所において、支払督促を申し立てることもできます。これは書類審査だけで済みますから、裁判所に何度も足を運ぶ必要もありません。費用・手数料は調停と同額です。申立書類に問題がなければ、裁判所から債務者に支払督促が送付されます。債務者が異議を申し立てない場合、支払督促に仮執行宣言が付きます。債権者はこれに基づいて強制執行の申し立てをすることができます。債務者が異議を申し立てると、訴訟へという流れになります。

  3. (3)少額訴訟

    60万円以下の金銭の支払いを求める場合に限って、少額訴訟という特別の訴訟を簡易裁判所に申し立てることができます。何が特別なのかというと、1回の期日で審理を終えて判決が出されるからです。裁判官と同じ丸いテーブルに着席して、審理を行うのも通常の訴訟とは異なります。証拠調べなども、その日その場で完結できるものに限られます。通常の訴訟の場合には、判決に納得できない場合は控訴する(上級の裁判所に訴える)ことができますが、少額訴訟の場合には、異議申し立てをすることしかできません。裁判所の費用・手数料は、調停や支払督促の倍となります。

4、個人で債権回収をするデメリット

個人で債権回収をするデメリット

今までご紹介してきたように、債権回収のために自分自身でできる方法はいくつかあります。法的手段を選択した場合にも、詳しい法律知識は必要なく、裁判所とともに解決を目指すことが可能です。

  1. (1)民事調停

    しかし、裁判所に動いてもらうにしても、そのための書類を用意しなければなりません。また、書類の記載例が裁判所のホームページにありますが、そこに書くべき内容と書かなくてもよい内容を取捨選択できる法律知識は持ち合わせていないのが、通常です。
    つまり、不慣れな書類を書くという、余計な時間を使ってしまうことだけがデメリットではないのです。専門的な法律知識がないことが、不利な結果を導いてしまう恐れがあるのです。
    法律の知識がなくても、裁判所を使った法的な手段を選択することはできます。しかし、自分にとってより有利な解決案を導き出す手段として、法律知識は必要になってくるのです。

  2. (2)別の法的トラブルが発生する可能性がある

    自分自身で電話をかけたりすることで、債権を回収したりしようとする場合にも、そのやり方次第では、法的トラブルとなり、逆に罪に問われる可能性も少なからずあるのです。どのような配慮が必要なのかというのも、法律知識が必要になります。

5、弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼するメリット

ここまで確認してきた通り、専門的な法律知識を持った弁護士に相談・依頼する方が、自分にとって有利な結論を導き出すことができます。法律知識が無くとも、裁判所に協力を求めることはできますが、裁判所は申し立てた人の味方になることは決してありません。両者にとって衡平な解決策を考えるからです。

  1. (1)法的知識が必要な場面で安心して任せられる

    弁護士は、依頼者のために法律知識を駆使して、債権回収のトラブルに対処します。まず、どの債権回収策が最も効果的なのかをケースバイケースでアドバイスしてくれるでしょう。場合によっては、弁護士名で内容証明を出すことから、相手の動きを探ることもあるでしょう。弁護士名で内容証明郵便を送るだけでも、債務者にはかなりの心理的プレッシャーを与えることができるからです。
    調停を行う場合も弁護士を代理人として、任せることができます。もちろん、債務者側も弁護士を代理人にしてくるかもしれません。そんな時弁護士がいれば、調停が万が一不調に終わって訴訟という流れになっても、安心できますね。
    支払督促をした場合も、最終的には強制執行という法的手続きを踏まなければならなくなりますから、弁護士に頼む方が安心できます。

  2. (2)スピーディーな対応が可能

    そして最も大事なことですが、債権回収はできるだけスピーディーに対応しなければならないということです。債務者の財産が無くならないうちに、早く手を打つべきです。場合によっては、自己破産手続きを検討しているかもしれません。裁判所で自己破産手続開始決定が出て免責決定が出てしまったら、債権の回収はほぼ諦めなければなりません。自己破産を申し立てた場合、非常に高い確率で免責決定がなされます。
    そのような事態を避けるためにも、債権回収の代理経験豊富な弁護士事務所に相談・依頼するのが、より良い解決につながるはずです。

6、まとめ

まとめ

貸したお金を返してもらう。代金を支払ってもらう。このような債権回収を自分自身で行う方法は確かにあります。しかし、それらの方法を継続的に行わなければならないようであれば、法的トラブルになる可能性が高くなるので、債権回収について経験豊富な弁護士事務所に相談・依頼すべきでしょう。
法律の専門家である弁護士が出て来るだけで、債務者には大きなプレッシャーを与えることができます。債権回収の経験豊富な弁護士事務所であれば、依頼者にとって有利かつスピーディーに対応してくれます。
まずは相談から始めてみてはいかがでしょうか。

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