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突然の雇い止め! もしかしたら違法かも? 確認すべきことや対処方法

2021年05月27日
  • 不当解雇・退職勧奨
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突然の雇い止め! もしかしたら違法かも? 確認すべきことや対処方法

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、大阪府では、感染拡大や収束状況を判断するための独自指標・基準として「大阪モデル」を作成しました。また、堺市においても、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、「堺スタイル」という生活様式を提案しています。

しかし、こうした新型コロナウイルス感染拡大防止の取り組みが広がる一方、コロナ禍による経済活動の停滞によって業績が悪化する企業も増加しています。そのため、勤務先や派遣元を解雇されたり、雇い止めをされたりする人も増えています。

厚生労働省による新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する調査によると、令和2年5月から令和3年5月7日までの新型コロナウイルスによる雇用調整によって解雇などの見込み労働者数は、10万3000人、そのうち非正規雇用(派遣労働者、契約社員、パート・アルバイトなど)の労働者数は4万7954人となっています。

多くの非正規労働者が新型コロナウイルスの影響によって職を失っている状況ですが、場合によっては、違法な雇い止めがなされている可能性もあります。

そこで今回は、雇い止めの基礎知識と宣告されたときの対処法について、ベリーベスト法津事務所 堺オフィスの弁護士が解説します。

1、解雇と雇い止めの違いについて

解雇と雇い止めについては、どのような違いがあるのでしょうか。以下では、解雇と雇い止めの基本的な知識について説明します。

  1. (1)解雇とは

    解雇とは、会社が一方的に労働者との雇用契約(労働契約)を解約することをいいます。会社からの解雇は、労働者の生活基盤を失わせるという重大な結果を生じさせるものですので、労働者保護の観点から、解雇については、労働法上一定の制約が課されています。

    労働契約法16条では、客観的に合理的な理由を欠いて、社会通念上相当であると認められない解雇については、解雇権を濫用したものとして無効となる、と定められています。

    また、契約社員やパートなど、期間の定めのある有期労働契約を締結している労働者は、正社員などの期間の定めのない無期契約を締結している労働者より、期間中の雇用継続への期待が高いことから、解雇の有効性はより厳格に判断されることになります(労働契約法17条)。

  2. (2)雇い止めとは

    雇い止めとは、期間の定めのある有期労働契約を締結している労働者との間で、期間満了によって労働契約を終了させ、契約を更新させないことをいいます。

    解雇と雇い止めの違いは、解雇が契約期間の途中で労働契約を終了させるものであるのに対して、雇い止めが契約期間満了によって労働契約が終了するものという違いがあります。

    雇い止めについても、解雇と同様に労働者の生活基盤を失わせるものですので、労働法上一定の制約が課されています。雇い止めに関する法規制の詳細については、以下で説明します。

2、違法(無効)となる雇い止めはどんなケース?

契約期間が満了したからといって、会社は自由に労働契約を終了させることができるわけではありません一定の要件を満たさない雇い止めについては、無効となることがあります

  1. (1)雇い止め法理とは

    民法の原則によると、契約社員やパートなどと結ぶ有期労働契約は、契約で定められた期間が満了すれば契約を更新しない限り契約関係が終了し、会社は雇い止めをすることについて特に理由を必要としないとされています。

    しかし、有期労働契約であっても労働者の雇用継続への期待を保護する必要があることから、判例上、有期労働契約であっても一定の場合には解雇権濫用法理(労働契約法16条)が類推適用され、合理的理由のない雇い止めについては無効とされてきました。

    この判例法理を“雇い止め法理”といいます。雇い止め法理については、労働契約法改正によって、労働契約法19条に明文化されました。

  2. (2)雇い止めが無効とされるケース

    労働契約法19条によって、雇い止めが無効とされるためには、まず、以下のようなケースである必要があります。
    ① 長期にわたって有期労働契約が反復継続され、無期労働契約と実質的に異ならない状態に至った場合(同条1号)
    ② 相当程度の反復更新の実態から更新の合理的な期待が認められる場合(同条2号)

    ①および②には、契約期間や契約更新回数などの具体的な基準は明らかにされていません。しかし、労働契約法19条が従来の判例法理を明文化したものであることからすると、①、②のいずれかにあたるかどうかについては、

    • 業務の客観的内容(従事する仕事の種類、内容、勤務の形態)
    • 契約上の地位の性格(地位の基幹性、臨時性、労働条件についての正社員との同一性の有無)
    • 当事者の主観的態様(継続雇用を期待させる当事者の言動、認識の有無、程度)
    • 更新手続き(契約更新の状況、契約更新時における手続きの厳格性の程度)
    • 他の労働者の更新状況(同様の地位にある他の労働者の雇い止めの有無)
    • その他(有期労働契約を締結した経緯、勤続年数などの上限設定の有無)


    これらの要素を総合的に考慮し、個別具体的に判断していくことになります。

    ①、②のいずれかにあたる場合で、使用者が更新の申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で更新の申込みを承諾したものとみなされます

3、無期転換ルールについて

労働契約法が改正され、平成25年4月1日から有期労働契約に関して“無期転換ルール”が創設されました。雇い止め法理と併せて、有期労働契約を締結する労働者を保護するための重要な制度です。

  1. (1)無期転換ルールとは

    無期転換ルールとは、有期労働契約が反復更新されて、通算での契約期間が5年を超えたときには、労働者の申し込みによって、期間の定めのない無期労働契約に転換されるルールのことをいいます(労働契約法18条)。

    たとえば、契約期間が1年の有期労働契約が締結されている契約社員の場合には、5回目の更新後の1年間に無期転換の申込権が発生します。契約期間が3年の有期労働契約が締結されている場合には、1回目の更新後の3年間に無期転換の申込権が発生します。

    通算契約期間5年という期間のカウントは、平成25年4月1日以降に締結した労働契約から開始されることになります。そのため、それよりも前に開始した有期労働契約については、通算期間のカウントには含まれません。

  2. (2)無期転換ルール適用の効果

    無期転換ルールは、要件を満たす労働者に自動的に適用されるわけではありません。無期転換ルールによって、無期契約を希望するときには、労働者から使用者に対して、申し込みの意思表示をする必要があります。申し込みについては、口頭でもよいとされていますが、口頭での申し込みだけですと、後日申し込みの有無について争いが生じる可能性がありますので、できる限り書面で申し込みをするようにしましょう。

    有期労働契約の労働者が無期転換申込権を行使することによって、使用者はそれを承諾したものとみなされ、その申込権が行使された時点で無期労働契約が成立することになります。もちろん、その申込権を行使した労働者は、現在締結している有期労働契約に基づいて就労することになりますが、その有期労働契約の期間が満了すると、すでに成立している無期労働契約に基づいて就労することになります。

    その他の労働条件については、契約期間に関するものを除き、有期労働契約時の労働条件が引き継がれます。

4、違法(無効)な雇い止めにあった場合の対処方法

有期労働契約が何度か更新されており、実質的に無期契約と異ならない状態か反復更新されることに対する期待が生じている状態であるにもかかわらず雇い止めをすることは無効と判断される可能性があります。このような違法な雇い止めをされたときには、以下のような対処が可能です。

  1. (1)復職を希望する場合

    法律の要件を満たさない雇い止めについては、無効とされていますので、違法な雇い止めをされたとしても、法律上は、労働者から契約更新の申込みなどをしたときには、引き続き労働契約が継続することになります。そのため、会社への復職を希望するときには、会社に対して雇い止めの無効を主張し、会社への復職を認めてもらうことになります。

    雇い止めの無効を主張するためには、これまでの更新手続きの内容や回数、更新への期待を生じさせる事情が必要となりますので、契約書などの証拠を収集してから交渉に臨むとよいでしょう。

    なお、無期転換申込権を行使した有期労働契約の労働者との契約関係を有期労働契約の期間満了時に終了させる場合には、無期転換申込権を行使した時点ですでに無期労働契約が成立しており、実質的には無期労働契約の労働者を解雇させる場合と同様になりますので、雇い止め法理ではなく、解雇権濫用法理(労働契約法16条)によって厳格に解雇の有効性が判断されることになります。

    証拠集めの方法がわからない、そもそも会社からの指示が不当解雇なのか、雇い止めなのか判断しかねる場合は、まずは労働問題の実績がある弁護士に相談することをおすすめします

  2. (2)復職を希望しない場合

    復職を希望しない場合には、雇い止めの無効とともに損害賠償請求や慰謝料請求を行うことを検討しましょう。雇い止めが無効となったときには、会社は当該労働者の復職までの給与をさかのぼって支払わなければならない義務を負います。そのため、労働者としては、解決金として一定の金銭を得ることで、復職をせずに解決を図るということも行われています。

5、違法(無効)な雇い止めで弁護士がサポートできること

違法な雇い止めをされたときには、弁護士に相談をするようにしましょう。

  1. (1)会社との交渉をサポート

    違法な雇い止めをされたときには、雇い止めの無効を主張して会社に対して復職を求めていかなければなりません。会社と労働者では、労働者の方が弱い立場にありますので、労働者一人で会社と対等な立場で交渉を行うというのは非常に困難です。また、雇い止めが無効であると主張したとしても、まともに取り合ってくれないこともあります。

    弁護士であれば、法律家の立場から、会社に対して適正に雇い止めの無効を主張することができますし、交渉がスムーズになる可能性が高まりますさらに、会社との交渉を弁護士に一任することで、労働者としては精神的負担も相当軽減されることでしょう

  2. (2)労働者の状況に応じた法適用のサポート

    有期労働契約を締結している労働者に対しては、法律上、さまざまな保護がなされています。単に違法な雇い止めを無効にして、有期労働契約を継続するだけでなく、場合によっては、無期転換ルールを適用して無期労働契約に転換するということも可能な場合があります。

    どのような内容で解決を図ることが最善であるかについては、労働者の置かれている状況に応じて個別具体的に判断していかなければなりません。そのため、雇い止めにあった労働者としては、まずは弁護士に具体的な状況を相談して、最善の解決策を提案してもらうとよいでしょう。

  3. (3)訴訟や労働審判の手続きをサポート

    会社との交渉によって解決しないときには、訴訟や労働審判を申し立てて争っていくことになります。これらの手続きについては、労働者個人が適切に行っていくことは非常に困難ですので、弁護士のサポートが必要不可欠です。

    訴訟になれば、証拠によって雇い止めが無効であることを証明していかなければなりませんが、弁護士がいれば、どのような証拠が必要かなどの判断を適切に行うことができますので、適切な訴訟展開を期待することができます。

6、まとめ

新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、有期労働契約の労働者が雇い止めをされるという事例が増えてきています。すべてが違法な雇い止めというわけではありませんが、雇い止めのなかには一定の要件を満たしていない違法な雇い止めも存在しているはずです。
雇い止めをされたが納得がいかないという労働者の方は、ベリーベスト法律事務所 堺オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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