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寸借詐欺とは? 問われる罪や量刑、逮捕される可能性などについて

2022年08月30日
  • 財産事件
  • 寸借詐欺とは
寸借詐欺とは? 問われる罪や量刑、逮捕される可能性などについて

大阪府警察が公表している犯罪統計資料によると、令和3年に認知された詐欺罪の件数は3428件で、検挙されたのは1076件でした。刑法犯全体では、窃盗、器物損壊に次いで詐欺が3番目に多い認知件数となっています。

詐欺罪は、さまざまな手口によって被害者からお金をだまし取る犯罪ですが、被害者の善意につけ込んでお金をだまし取る手口に「寸借詐欺」というものがあります。少額な被害であるため、被害者としても被害届を出すことが少ないですが、寸借詐欺も立派な犯罪行為です。寸借詐欺が事件化された場合には、裁判によって有罪となるリスクもありますので、絶対に行ってはいけません。

今回は、寸借詐欺で問われる罪や逮捕の可能性などについて、ベリーベスト法律事務所 堺オフィスの弁護士が解説します。

1、寸借詐欺とは

寸借詐欺とはどのような犯罪なのでしょうか。以下では、寸借詐欺の概要とその具体的手口について説明します。

  1. (1)寸借詐欺の概要

    寸借詐欺とは、詐欺の手段の一つであり、人の善意につけ込み、被害者から少額の現金を借りるふりをしてお金をだまし取る手口です。

    「交通費が足りない」、「財布を落としてしまった」などの口実で詐欺被害者に近づいてきて、詐欺被害者の同情を誘うなどして、巧妙に金銭を要求してきます。

    他人にお金を貸すということは躊躇(ちゅうちょ)する方も多いですが、困っている人を見ると助けてあげたいと考えてしまうため、だまされているという認識なくお金を渡してしまいます。要求する金額も数千円程度ですので、詐欺被害者が断りにくいというのも寸借詐欺の特徴です。

  2. (2)寸借詐欺の具体的な手口

    寸借詐欺の具体的な手口としては、以下のようなものが挙げられます。

    ① 観光客を装う手口
    観光地など多数の人が訪れる場所において、観光客を装って寸借詐欺を行うことがあります。他の観光客やお店の人などに対して、「財布を落としてしまった」、「知らない土地で頼れる人もいない」などと言い相手の同情を誘うことで、お金を引き出しやすくします。

    被害者としても「交通費程度であればよいか」などの軽い気持ちでお金を貸してしまいますが、当然貸したお金が返ってくることはありません。

    ② 名刺などを渡して信用させる手口
    少額のお金であっても見ず知らずの人にお金を貸すことに躊躇する方もいるでしょう。それは、知らない人にお金を貸しても返ってこないと考えるのが理由かもしれません。

    そのような被害者に対しては、名刺や携帯番号を教えるなどの方法によって、信用のある人であること、後日きちんと連絡を取る手段があることを信じ込ませることによって、お金を騙し取ろうとします。

    名刺など一見すると本物のように見えますが、そこに書かれている名前や電話番号などは偽物ですので、当然、お金を貸した相手と連絡を取ることはできません。

    ③ 犯罪被害者を装う手口
    「財布を盗まれてしまった」など寸借詐欺の犯人自身が犯罪の被害者を装うことによって、相手の同情を誘う手口がとられることもあります。犯罪被害にあって、心身ともにボロボロの状態を装って話しかけられると、話しかけられた方はお金を貸すのが嫌でも断りづらくなってしまいます。

2、寸借詐欺で問われる罪は?

寸借詐欺をした場合には、刑法上の詐欺罪に該当する可能性があります。以下では、詐欺罪の成立要件について説明します。

  1. (1)欺罔(ぎもう)行為

    欺罔行為とは、財物の交付・財産上の利益の処分に向けて人を欺いて錯誤に陥れる行為のことをいいます。寸借詐欺の場合には、「財布を落とした」、「交通費が足りない」などの事実を偽る行為がここでいう欺罔行為にあたります。

    ただし、行為の時点で相手をだます故意が必要になりますので、お金を借りた時点では返すつもりがあったものの、後日気持ちが変わって返済しなくなったという場合には、詐欺罪は成立しない可能性があります。

  2. (2)相手方の錯誤

    詐欺罪が成立するためには、欺罔行為の相手方が錯誤に陥ったことが必要になります。錯誤とは、簡単にいえば、犯人の嘘によって、だまされて信じ込んでいる状態のことをいいます。

    そのため、お金の無心をされたものの、被害者が寸借詐欺であることを見抜いており、哀れに思ってお金を貸したという場合には、被害者自身には錯誤はありませんので詐欺既遂罪は成立しません。

  3. (3)財産の交付

    詐欺罪が成立するためには、相手方の錯誤に基づく交付・処分行為によって財産が交付されたということが必要になります。被害者が話に夢中になっているすきをついて、財布を持ち去るという行為は、相手方からの財産の交付がありませんので、詐欺罪ではなく、窃盗罪が成立することになります。

    寸借詐欺でいえば、少額であってもお金の交付を受ければ、この要件を満たすことになります。

  4. (4)因果関係

    欺罔行為、相手方の錯誤、財産の交付については、すべて因果関係があることが必要になります。欺罔行為はあったものの被害者が錯誤に陥らなかったという場合には、因果関係はありませんので、詐欺未遂罪が成立するにとどまります。

3、寸借詐欺で事件化するケース

寸借詐欺を行った場合には、警察による捜査が行われることはあるのでしょうか。

  1. (1)寸借詐欺が事件化するケースは少ない

    寸借詐欺は、その手口の特徴から被害額が少額であることから、被害者自身が被害に気付いていないか、被害に気付いたとしても面倒な手続きを嫌い被害届の提出がなされないことが多いです。

    また、寸借詐欺は、被害者と寸借詐欺師とが面識のない他人同士であることが多いため、犯人を特定することができないことが多いです。

    このような理由から寸借詐欺が事件化するケースは少ないといえます。しかし、寸借詐欺を行う詐欺師は、一度だけでなく何度も繰り返し同様の手口を行っていることが多いため、複数の被害者から情報が提供されることによって、警察でも本格的に捜査の対象として動き出すことがあります。

    そのため、単発の寸借詐欺の事案よりも、同一犯によって繰り返し犯行が行われている寸借詐欺の事案の方が事件化されやすいといえます

  2. (2)寸借詐欺の量刑

    寸借詐欺は詐欺の手口のひとつですので、寸借詐欺が立件されて詐欺罪で有罪となった場合には、詐欺罪の法定刑が適用されることになります。

    詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役です。罰金刑はありませんので、刑事裁判によって有罪となった場合には、執行猶予が付かない限り、刑務所に収監されることになります。

    寸借詐欺の量刑は、詐欺罪の法定刑の範囲で定められることになりますが、事案によって具体的な量刑は異なってきます。

    初犯であり、かつ被害額も僅少であれば執行猶予が付く可能性が高くなりますが、寸借詐欺の犯行を繰り返し行っており、被害額も大きいという場合には、執行猶予のつかない実刑判決が言い渡される可能性もあります

4、寸借詐欺で逮捕された場合の流れ

寸借詐欺で逮捕された場合には、以下のような流れで刑事事件の手続きが進みます。

  1. (1)逮捕

    犯罪の嫌疑をかけられた人を被疑者と呼びます。被疑者が逃亡または罪証隠滅のおそれがあると捜査機関に判断された場合、逮捕によって被疑者の身柄が拘束されます。

    逮捕された被疑者は、警察署の留置場に身柄が拘束され、逮捕による身柄拘束中は弁護士を除く第三者と面会をすることができません。家族であっても面会はできませんので、被疑者本人と連絡を取りたい場合、家族から早めに弁護士に依頼する必要があります。

    なお、逮捕には、法律上、時間制限が定められており、逮捕から48時間以内に身柄を解放されるか、身柄を検察に送致されることになります。

  2. (2)勾留

    警察から被疑者の身柄の送致を受けた検察では、24時間以内に身柄を解放するか事件を起訴するかの判断をしなければなりません。

    ただし、引き続き被疑者の身柄を拘束する必要がある場合には、勾留という手続きが取られます。

    検察官によって勾留請求がされ、裁判官が勾留を認めた場合には、原則として10日間の身柄拘束が行われます。勾留には延長請求が認められていますので、勾留延長の請求がなされ、勾留延長が認められた場合には、最大10日間の身柄拘束が行われます。

    逮捕と勾留を合わせると最長で23日間も身柄拘束をされることになり、被疑者本人に生じる不利益は甚大なものとなります。早期の身柄解放を目指すためにも、早めに弁護士に依頼をするようにしましょう。

  3. (3)検察官による起訴または不起訴の判断

    勾留期間の満期までに検察官は、事件を起訴するか不起訴にするかの判断をすることになります。検察官が事件を起訴した場合には、後述する刑事裁判によって審理が行われます。

    他方、検察官が事件を不起訴にした場合には、被疑者の身柄は解放され、寸借詐欺による前科が付くということもありません。

  4. (4)刑事裁判

    日本の刑事裁判では、検察官によって起訴された場合には、99%以上の割合で有罪判決が言い渡されることになります。

    犯罪行為を認めている場合には、執行猶予付きの判決を求めていくことになりますが、そのためには被害者との間で示談を成立させることが重要となります。

    寸借詐欺は、被害者がいる犯罪ですので、被害者からだまし取ったお金を返還するなどによって早期に被害者と示談を成立させる必要があります。寸借詐欺の加害者やその家族が、被害者と連絡をとることや示談交渉を進めることは困難といえますので、弁護士に依頼するなどして早めに示談交渉を進めることが大切です

5、まとめ

寸借詐欺は、被害額も僅少であり、被害者から被害申告もなされないことが多いため、事件化されることが少ない犯罪といえます。しかし、事件化されることが少なくても犯罪であることには変わりありません。被害額が大きかったり、多数の被害者がいたりする場合には、逮捕される可能性も十分にあり得ます。

寸借詐欺の嫌疑をかけられている方や寸借詐欺で逮捕された本人のご家族の方は、早めにベリーベスト法律事務所 堺オフィスまでご連絡ください。早期に弁護活動に着手することによって有利な処分を獲得できるよう、全力でサポートいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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