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留置場(りゅうちじょう)とは│拘置所・保護室・刑務所との違い

2022年06月09日
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  • 留置場
留置場(りゅうちじょう)とは│拘置所・保護室・刑務所との違い

平成30年8月、大阪府富田林警察署で逮捕・勾留中だった容疑者が、弁護士との接見後に面会室の仕切り板を蹴り壊して逃亡する事件が起きました。逃亡から49日目に山口県内で容疑者が発見・逮捕されましたが、逃亡を許してしまった大阪府警は管内各所の留置管理体制を見直し、設備を整えたそうです。

この事例で逃亡した容疑者は、強制性交等罪や窃盗罪などの疑いで逮捕・勾留されて「留置場」に収容されていました。留置場での生活は逃亡を図るほどに厳しいものなのでしょうか?

本コラムでは「留置場」がどのような施設なのか、内部での生活や留置場から出る方法などを解説します。

1、「留置場」とはどんな施設か?

そもそも「留置場」とはどんな施設で、どのような状況で誰が収容される場所なのか、まずは基本的な情報を確認しておきましょう。

  1. (1)警察が容疑者の身柄を拘束するための施設

    留置場とは、警察が逮捕した容疑者の身柄を拘束しておくための施設です。

    留置場に収容されている間は、自宅に帰ったり、会社や学校へ通ったりできません。警察が身柄を預かる形で、取り調べなどの捜査を受けることになります。

    留置場は警察署の建物内に設置されていますが、収容者が出入りする際に人目に触れてしまう事態を防ぐために、運転免許の更新や落とし物などの窓口とは隔離した位置にあるのが一般的です。

    また、一部の大規模警察署では、敷地内に別棟として留置専用施設を置いていることもあります。なお、留置場という名称は一般的な名称で、法律などでは「留置施設」と表記されています。

  2. (2)留置場への収容は刑罰ではない

    警察に逮捕されると「罰として監獄に収容される」といったイメージをもつかもしれませんが、それは間違いです。

    留置場に収容されるのは刑事裁判を受けるよりも前であり、あくまでも犯罪の容疑をかけられている被疑者が逃亡や証拠隠滅を図る事態を防ぐ目的の施設なので、留置場への収容は刑罰ではありません

    これは、わが国の司法制度における「推定無罪(無罪推定)の原則」と関係しています。
    日本国憲法第31条によると、刑事裁判で有罪判決を受けない限り、誰であっても刑罰を科せられることはありません。

    とはいえ、留置場への収容は警察による逮捕が前提であり、自由を奪われたうえで実名報道などの不利益も受けるケースが多いため、実質的には刑罰に等しいという議論もあります。

2、拘置所・保護室・刑務所との違い

刑事事件を起こしてしまったときや警察沙汰を起こしてしまったときに収容される場所は、留置場だけではありません。

まぎらわしい「拘置所」「保護室」「刑務所」と留置場の違いを確認していきましょう。

  1. (1)「拘置所」は未決拘禁者を収容する施設

    拘置所とは、法務局が管轄する未決拘禁者(みけつこうきんしゃ)の収容施設です。

    「未決拘禁者」とは、刑事裁判で判決が未確定のまま身柄拘束を受けている人を指す用語で、刑事事件の被疑者や刑事裁判の被告人が該当します。

    本来、警察に逮捕された被疑者は拘置所に身柄を置かれるのが原則です。ところが、拘置所は全国に8カ所、拘置支所なども100カ所ほどしか設置されていない(令和2年4月1日時点:法務省HP)ので、警察の留置場が「代用刑事施設」として利用されているという実情があります。

    警察に逮捕されて留置場に収容されたあとで検察官に起訴されて被告人になると、拘置所へと移管されるのが一般的な流れです。

    ただし、拘置所の収容人数を超えているなどの状況がある場合は、拘置所へと移管されず留置場に収容されたままになるケースもあります。

    なお、拘置所には、死刑の宣告を受けた死刑囚も収容されています。死刑が執行されるまでは刑罰を受けていないことになるので、刑務所ではなく拘置所に収容されるという仕組みです。

  2. (2)「保護室」は自傷他害を防ぐための設備

    保護室とは、警察署内に置かれている設備です。外部からでないと戸を開けられず、狭い空間に簡易的なトイレが設置されている簡素な設備です。

    泥酔や精神錯乱などによって自分や他人に危害を加えてしまうおそれがある者について、原則24時間以内を限度に収容する部屋なので、罪を犯して収容される場所ではありません。

    罪を犯して収容されるわけではないので、泥酔や精神錯乱といった状態が治まり自傷他害のおそれがないと判断されれば保護が解除され、身元引受人に引き渡されて外へと出られます。

  3. (3)「刑務所」は受刑者を収容する施設

    刑務所は、法務省が管轄する刑事施設です。

    自由刑にあたる懲役・禁錮・拘留の受刑者が収容される場所で、刑罰としての収容を目的としている点が留置場と本質的に異なります。

    また、懲役については強制的に、禁錮・拘留の場合は受刑者の希望に応じて、刑務作業という労役に従事する点も、留置場には存在しない処遇です。

3、留置場に収容される期間や施設内の生活

警察に逮捕されてしまうと、どのくらいの期間にわたって留置場に収容されるのでしょうか。留置場の収容期間や施設内の生活と併せてみていきましょう。

  1. (1)留置場に収容される期間は最長23日程度

    留置場に収容されるのは刑事事件で疑いをかけられた被疑者です。警察に逮捕されると、警察段階で48時間以内の身柄拘束を受けて留置場へと収容されます。

    さらに、警察が一時的な捜査を終えて検察官へ送致すると、検察官の段階でも24時間以内の身柄拘束を受けます。ここで検察官が「勾留」を請求し、裁判官がこれを許可すると、初回で10日間、延長請求があればさらに10日以内にわたって身柄拘束が続きますなお、別件で逮捕されてしまえば、さらに身柄拘束期間が延びてしまうことがあります

    この間、被疑者だからといって寝食さえも許されないわけではありません。食事や睡眠のほか、入浴、休養なども必要なので、被疑者として身柄拘束を受けている期間は留置場が生活の場となります。

  2. (2)施設内では規則正しい生活を送る

    留置場に収容されると、昼夜を問わず厳しい取り調べが続き、寝食もまともに取らせてもらえないのではないかと不安になる方も多いはずです。

    しかし、警察では「捜査」と「留置」の分離が図られており、被疑者の生活は留置部門が厳しく管理しているため、捜査の都合で不当な処遇を受けたりはしません。収容中は、留置部門が定めている日課に従い、規則正しい生活を送ることになります。

    警察署の運用によって若干の差がありますが、留置場での一日のスケジュールは次のとおりです。

    • 午前6時半……起床・清掃
    • 午前7時半……朝食・運動
    • 午前9時~……取り調べ・面会など
    • 午後0時………昼食
    • 午後1時~……取り調べ・面会など
    • 午後6時………夕食
    • 午後9時………就寝


    食事は朝・昼・夕の一日3回で、すべて警察が用意するので食費はかかりません。健康維持のために必要な栄養が備わった食事が提供されますが、足りないと感じる場合は菓子類などの自費購入も可能です。

    留置場に収容されている期間は、主に警察官による取り調べや再現見分・引き当たりといった捜査への対応に時間を費やすことになります。

    勾留決定後は家族などとの面会も許されるようになりますが、一日の面会時間・回数・人数は限られているので、無制限に面会できるわけではありません。

    なお、弁護人による接見には時間・回数などの制限がなく、いつでも自由に接見可能です
    たとえば、取り調べを受けている最中に弁護人が訪ねてきた場合は、取り調べが中断・取りやめとなることもあります。

4、留置場から出るには?

留置場に収容されている間は、自由な行動が大幅に制限されます。外出できないだけでなく、電話の使用もできません。さらに、仮に接見等禁止がなされた場合には、弁護人以外は、裁判所の許可がないと家族との面会も一切できなくなります。

そのため、家族だけでなく仕事・学校といった社会生活とも隔離されてしまうことを考えれば、一刻も早い釈放を目指すべきです。

では、留置場から出るにはどうすればよいのでしょうか?

  1. (1)勾留・勾留延長の阻止を目指す

    警察に逮捕され、送致を受けた検察官が「勾留」を請求し、裁判官が許可すると、最長で20日間にわたる身柄拘束の延長につながります。

    つまり、勾留や勾留延長を阻止できれば身柄拘束が許されないため、留置場に留め置かれる期間の短縮が可能です。

    勾留・勾留延長を阻止するためには、裁判官が下した許可に対して不服を申し立てる「準抗告」という手続きが必要です。

    また、逃亡や証拠隠滅の危険がないことを検察官にはたらきかけて勾留請求を見送らせたり、同様の事情を裁判官に説明して請求を許可しないようにはたらきかけたりする対策も有効でしょう。

    なお、余罪の存在も忘れていけません。余罪があれば、別件逮捕・勾留がなされる可能性があり、せっかく身柄が解放されたとしても引き続き別件での身柄拘束がなされることがありえます。
    そのため、堺オフィスの弁護士は、接見を介して被疑者と信頼関係を築きながら別件逮捕・勾留の存否も視野にいれた弁護活動を行っています

  2. (2)被害者との示談成立を目指す

    窃盗・詐欺・暴行・傷害・脅迫・強制わいせつなどのように被害者が存在する事件では、被害者との「示談」を成立させることが早期釈放へとつながります。

    刑事事件における示談とは、犯罪の加害者と被害者が刑事手続きや刑事裁判の外で相互に話し合い、解決する手続きです。被害者に対して真摯(しんし)に謝罪したうえで、与えてしまった損害や精神的苦痛を示談金というかたちで支払うことで、被害届の取り下げや刑事告訴の取り消しを実現します。

    被害者との示談成立は、被害者が「加害者を許す」という意向をもっているという評価につながります。警察や検察官もあえて捜査を継続する必要がなくなるので、事件が終結し、留置場からも釈放される可能性が高まるでしょう。

5、まとめ

「留置場」は、犯罪の容疑をかけられている段階の被疑者を収容する施設で、警察署内に設置されています。刑務所のように刑罰として身柄を拘束されるのではなく、あくまでも逃亡・証拠隠滅を防ぐための場所であり、収容中は取り調べなどの捜査に応じることになります。

被疑者として留置場に収容される期間は、基本的には最長23日間ですが、起訴されれば拘置所へと移管されたり、そのまま留置場での収容が続いたりするので、一刻も早い釈放を目指したいところです。

勾留や勾留延長の阻止には法律の幅広い知識や刑事事件の経験がある弁護士のサポートが欠かせません。ご家族や知人が留置場に収容されてお困りの場合は、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所 堺オフィスにおまかせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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